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眞喜屋修(やちむん作家)
1969年沖縄県生まれ。沖縄県立芸術大学卒業後、大嶺實清氏に師事。8年間の修行を経て、2001年に独立。当初は首里金城町に「陶房 眞喜屋」を設けたが、より広い環境を求めて2012年に南城市に移転。ゆくゆくはガスの熱源もうまく活用したオリジナル登り窯を作りたいと語る。

沖縄の土から生まれる、佇まいの美しい器

沖縄の言葉で「焼物」をあらわす、やちむん。生産地としては那覇市壺屋や読谷村が有名ですが、他の地域に工房を持つ作家も多く、お気に入りのやちむんを探して、窯元やセレクトショップを訪れる旅行者が増えています。沖縄本島南部の南城市、サトウキビ畑の中に「陶房 眞喜屋」を構える眞喜屋修さんのギャラリーを訪れるのも、7割が県外からの旅行者なのだそう。古民家に設えられたギャラリーを覗くと、青や茶色で彩られたやちむんが整然と並んでいました。

右のセメント瓦の古民家が「陶房 眞喜屋」のギャラリー。ざわめくサトウキビの中をドライブして行きたくなります。

「沖縄の強い陽射しの中で見ると、薄い色は色が抜けた感じに見えるんですよ。絵付けの色は自然と濃くなりますね。工芸品は、その土地の気候風土に育まれるものです。沖縄の土から生まれるやちむんは、その要素が強く出るかもしれません」
と、眞喜屋さんは語ります。

器を重ねて焼くことが多いやちむん。皿の中央には「蛇の目」と呼ばれるドーナツ状の輪ができるのが一般的ですが、眞喜屋さんはあえて蛇の目を残さないよう工夫。デザインモチーフは伝統柄か、自然の草花からインスピレーションを得たものが多いそうです。

厚口でどっしりとした構えに、いかにも南国らしい大らかな絵付けのものが多いやちむん。民藝運動の柳宗悦らは、壺屋焼きのそんな魅力を評価してきました。ところが明治以前、琉球王朝時代の古陶にはスッキリと洗練されたものが数多く残っています。眞喜屋さんのやちむんには南の島らしい温もりの一方で、その古陶に通じる「佇まいの美」が宿り、置いてあるだけで美しいのが最大の特長と言えるでしょう。
「大学や大嶺工房では、造形の美しさを学びました。そのためか、僕自身、モノを見る時はカタチから見るクセがついているかもしれません。絵付け作業が続くと、何も模様のない、真っ白なものを衝動的に作りたくなる。古陶の美は意識しますが、きちっと作ると堅くなるので、きつすぎず、ゆるすぎずを心がけています。伝統的なスタイルをふまえた上で、現代生活に合うものを作りたいですね」

やちむんとしては薄手の小ぶりなご飯茶碗。フルーツやナッツ、ミニサラダにも合いそうですねと声をかけると、「器の使い方はお客さんのほうがよくご存じなんですよ。僕なんか逆に勉強させてもらうことが多いですね」と、照れくさそうな笑顔が返ってきました。

変化する時代の中で、受け継がれていくもの

現在は世界各国からの参加者でにぎわう那覇大綱挽。2000年以後はハッピーマンデー制度により10月の第二日曜日に開催されており、2019年は10月13日に開催予定です。写真提供元:那覇市

「世界一のわら綱」としてギネスブックに登録されている那覇大綱挽。その歴史は1450年頃までさかのぼるとも言われ、琉球王朝時代は国家の平穏や海上安全を願って行われていました。人々が熱中するあまりトラブルが絶えないことから、王府は1812年に「那覇綱挽規模帳」というルールブックを作成したほど。
1879年、時の明治政府によって琉球王国は解体され、沖縄県が設置されました。王府による祭祀や行事の多くが廃止されていく中、那覇の綱挽は祝い綱として1935年まで行われていました。
沖縄戦を経て1971年の10月10日。翌年にアメリカ統治から日本への復帰を控え、当時の那覇市長の発案で綱挽が開催されました。実は10月10日は那覇大空襲の日。戦没者を悼み、平和安寧や繁栄を願う祭典として、途絶えていた那覇の綱挽きが復活したのです。

厳選したクリスタル麦芽を配合した、深いコクとまろやかな味わいの「琥珀ヱビス」。今年は、特長である琥珀色の液色に磨きをかけ、より美しい仕上がりとなっています。通常は業務用の樽生で販売していますが、缶入りは9月10日から期間限定発売。自宅はもちろん、旅先でもあの味をお手元にどうぞ。

1890年、ヱビスビールが生まれた年は、琉球国が沖縄県になって11年という時代でした。以来、揺れ動く時代の中で伝統を守りつつ、味わいを磨いてきたヱビスビール。常に原点へと回帰しながらも進化していくその哲学は、「美は、最終的には作り手の考えに行き着く」と語る眞喜屋さんの考え方にも通じる部分があります。
 那覇大綱挽は誰もが参加できる平和と繁栄の祭典。世界中から集まる旅行者も市民と共に綱を挽きます。多くの参加者が手元の引き綱を切り取り、縁起物として持ち帰るのも那覇大綱曳挽名物の光景です。いい汗をかいたら、南国の青空の下、琥珀ヱビスで乾杯! その芳醇な香りを手軽に楽しめるのは、この時期だけのお楽しみです。華やかな祝祭の日をさらに盛り上げてくれることでしょう。

写真:井田佳明 文:いのうえちず