yes2019_0619_cover

※「Pen」2016年6月1日号掲載の記事です。

桜エビといえば、普通の人は干したものを思い浮かべる。しかも、料理を華やかに見せる赤系の色を添えるという脇役がほとんど。
ところが、この桜エビは春と秋の一時期が旬であり、日本では静岡県の駿河湾だけでしか漁獲していない。
このため、昔の保存方法である乾物が常識になっているのだが、いまでは新鮮な桜えびを冷凍で取り寄せることができる。
ただし、水揚げしているのは駿河湾の2漁港だけ。春は3月から6月までが漁期とはいうものの、強風や波の高い日は出漁しないため、実働わずか1カ月という年もあったという。希少種だけに資源保護にも配慮されており、まさにプレミアムな食材なのである。だ。

ごま油の香ばしさと、サクサク感を味わう。


駿河湾産 生桜エビ

水揚げ後に急速冷凍された桜エビは、5〜10分程度で流水解凍できる。全長は3〜4㎝。台湾沖にも生息しており、乾物などで輸入されているが、それよりひとまわり大きい。
薄いガラス細工のように半透明で、鮮やかなピンク色に「桜」の名称が納得できるだろう。
それを調理する今回のレシピは「桜エビのかき揚げ」。

揚げている時からごま油の香りが食欲を刺激するのは反則のようにも思えるが、天ぷらになっても桜エビの彩りは褪せない。薄い殻をサクサクと噛んでいく食感が実に快く、しだいにエビ特有のトロリとしたほの甘さが口の中で認識できるようになる。
この時に喉を潤すのは、やはりコクの深いヱビスビールしかない。キメ細かな口あたりと、ホップ特有の香味豊かな苦みが、桜エビの風味とみごとにマッチングするのである。
駿河湾でしか採れないプレミアムな桜エビには、繊細な香味バランスにクオリティアップされたプレミアムなヱビスビール。ほっこりした幸せを感じるコンビネーションだ。

桜えびのかき揚げ

材料(2人分)

生桜エビ/100g
長ネギ/1/2本
大葉/5枚
薄力粉/130g
水/1カップ
卵黄/1個
サラダオイル/適量
ごま油/適量
塩・抹茶塩・カボス/適量

つくり方

1.桜エビは流水で袋のまま解凍させる。
2.長ネギは2㎜程度の小口切り、大葉は千切りにして水にさらしておく。
3.衣の具材は混ぜ合わせておく。
4.1と水をしっかり切った2を混ぜ合わせて衣と混ぜ合わせる。
5.165度から170度に熱したサラダオイル(お好みでごま油を加えると風味が増します)で揚げる。
6.塩、抹茶塩、カボスでいただきます。

ヱビスビールのコクが、桜エビの甘みを引き立てる。

えびはさまざまな種類が海や川に生息しているが、桜エビは殻ごと頭から食べるのが普通だ。このため、カルシウムの摂取量がケタ違いに多く、栄養価も高い。天ぷらの場合はごま油の香りがアクセントとなり、視覚、嗅覚、味覚、そして食感を楽しめる。エビ特有のトロリとした甘みには、ヱビスビールのコクと香味が絶妙にマッチングする。飲んだ後に鼻の奥から立ち上がる芳醇な「後香(あとか)」が、さらに食欲を刺激するのである。

宇田川 淳・写真 photographs by Jun Udagawa
笠木恵司・文 text by Keiji Kasaki
廣松真理子・フードコーディネート food coordinate by Mariko Hiromatsu

Pen Onlineはこちら https://www.pen-online.jp