2017_tc10_cover

からりと揚がった旬のネタの天ぷらに、ビールをグビリ!アツアツの口がビールで静まり、美味がさらに膨らんでいく。

ここ一番の時に味わいたいのは、天ぷらに生涯を捧げた近藤文夫氏が腕を振るう名店『てんぷら 近藤』の味。

「日本一の天ぷら職人」と言われる近藤氏の、天ぷらへの想い、哲学、そして技術に至るまで、その全てをお伝えしよう。

天ぷらの歴史を牽引する職人・近藤文夫氏とは?


北海道産のかぼちゃ、埼玉県・入間産のにんじん、千葉県産の栗など食材は全て近藤氏自ら現地に行き、味を確かめてから店に仕入れる

『てんぷら近藤』のメニューは、海老や海鮮も入るが、多彩な野菜によって構成されている。

現在でこそこの構成が一般的になったが、近藤氏が「山の上ホテル」に就職した約50年前は、高級江戸前の天ぷらに「野菜」を提供するのは邪道とされていたのだ。

しかし、近藤氏は「野菜」の美味しさにこだわった。それは、世界でジャンルが確立している料理には、その土地の野菜が使われており、天ぷらも日本料理の一品としてではなく、「天ぷら」というひとつのジャンルとして認めさせたいという想いがあったから。

ゆえに、23歳という若さで料理長に就任して以来、野菜を取り入れた天ぷらにこだわり続けている。

現在、日本で多彩な旬の天ぷらを味わえるのは、近藤氏の熱い想いによって築かれた歴史の功績と言えるだろう。

天ぷらの天才・近藤氏が語る「天ぷら」道とは?


東京・神田駿河台「山の上ホテル」の『てんぷらと和食 山の上』で21年間料理長を務め、食通・池波正太郎氏にも愛される。1991年に『てんぷら 近藤』を開業

とにかく食材がもつ旨み、いいところを最大限に引き出すのが近藤氏の「天ぷら」である。

「天ぷらは、衣でくるんで食材の水分を飛ばす、蒸し料理です」と語る。それゆえ、中の食材の味を引き出せるのだという。

薄い衣で野菜を包み込み、油の熱と水分で食材を蒸し上げ、絶妙なタイミングで油から引き上げる。近藤氏の技術は、まさに神業と呼べるほど。

分厚いカボチャもホクホクに!油の温度と薄付きの衣が旨さの決め手!


分厚い「さつまいもの天ぷら」の天ぷらのビジュアルでも有名な同店。この日は旬のカボチャを注文。北海道産のカボチャの甘みが、しっとりとした食感ともに口いっぱいに押し寄せる極上の一品である
天ぷらを作る上で重要なのは粉と思われがちだが、実は違う。近藤氏曰く「天ぷらは卵液と油の温度が肝心」なのだそう。

卵液は、卵と水が分離しないようとにかくよく混ぜ合わせ、そこに粉を入れるのがコツ。粉の割合は、1:1を基本としつつ、食材のもつ食感に合わせて微調整していく。

そして油は、太白ごま油と焙煎ごま油を3:1の割合で混ぜ合わせた100%ごま油を使用。鍋は2つ用意され、右は170度前後、左は180度前後で常に温度を一定に保っている。

こまめにガスを調整し、油も常に新鮮なものをと、多い日には一斗缶を4~5缶も使用するというから驚きである。

素材の旨味を極限まで引き出した天ぷらを、ビールとともに!


夜は「藤」(1人前11,000円)や「楓」(1人前14,000円)など全3コースから選べる。昼は若い人でも訪れやすいよう6,500円~とリーズナブルな設定になっているのも近藤氏の「天ぷらのおいしさを多くの人に知って欲しい」という想いから
パチパチと油のなかで食材が旨みを増していく至福の音を聞けば、「とりあえずビール」と声を出さずにはいられない。

実際、『てんぷら 近藤』を訪れたお客様のほとんどが、最初の1~2杯はビールを注文するそうだ。この「天ぷら×ビール」という最強タッグをより完璧なものへと昇華させるため、近藤氏が選んだのが「ヱビスビール」だ。

純粋に食材の味わいを引き出した「天ぷら」に、麦芽・ホップの香りと、ヱビス酵母の華やかな香りがバランスよく調和したヱビスビールは、最高のハーモニーを生み出す。

「本物には本物を……」。近藤氏のヱビスビールへの想い


〆には「天茶」を召し上がれ。そのままでも充分美味しい貝柱のかき揚げに、優しい味わいの出汁をかけて味わえば、ほっこりとコースのラストを飾ることができるだろう
本物の味を追求してきた近藤氏。本物には本物を合わせるべきと考え店で提供するビールに選んだのが「ヱビスビール」だった。

自身の歩んできた52年に及ぶ天ぷら人生は、常にこだわりに満ち、そして本物の味を追い求めるものだった。ヱビスビールも同様に、120年以上もの間、麦芽100%とホップで作る本当のビールを作り続けている。

近藤氏は天ぷらで、そしてヱビスビールはビールにおいて先駆者であり続けるという共通点が、『てんぷら 近藤』とヱビスビールを結びつけたのだろう。

近藤氏の技術が冴え渡り、食材の旨みを活かすというこだわりを一番感じられるのが、名物「にんじんのかき揚げ」だ。その技術に徹底的に迫ろう。

こちらは近藤氏が、にんじんが苦手な人でも食べられるようにと開発した逸品。実際に食べると大いに納得させられる。

にんじんが苦手な人の食べられない原因となる、青臭さや、ねちょっとした食感を排除し、最大の魅力である「甘み」を強調しつつ、食感はサクッと仕上げられているのだ。


均等に千切りにされた美しいにんじんに小麦粉をまんべんなくまぶす

小麦粉をまぶしたら、玉子と水を混ぜ合わせた卵液へ。この卵液の濃さは、食材によって調整されている

とにかく食材の味の邪魔にならないよう衣は薄く。見た目には、食材のままのようでも、油にいれればしっかりと衣を纏うのだから不思議だ

にんじんをパッと花火のように油に入れ、一本一本均等に揚げていく。近藤氏はフランスの飴細工からインスピレーションを受け、この調理法を生み出したという

数分経ったところで、匠に箸を動かしにんじん花火が一瞬にして「かき揚げ」へと変貌を遂げる

衣が付いていることを忘れるほど、にんじんの鮮やかなオレンジが出ているのが分かるだろう。この薄付きの衣が美味しい天ぷらの極意のひとつなのだ

近藤氏は全国各地、そして世界に至るまで新たな食材を探し求め続けている。

これからも進化を続けていく『てんぷら 近藤』を訪れ、旬の食材の持つ本当の美味しさを、ヱビスビールとともに楽しんでみてはいかがだろう。