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食通も唸る飲食店が多い三軒茶屋でもひときわ有名な焼き鳥店『床島』。丸鶏からさばく絶品焼き鳥と、時期ごとに変わるつまみの美味しさで人気を集める。

今回はそんな『床島』の店主・床島正一さんのこだわりの仕事ぶりに密着した。店主のハードな1日には、焼き鳥に対する熱い想いが詰まっていた。

名店のこだわりを紐解けば、その旨さの訳が見えてくる


焼き鳥通に人気の希少部位「そり」も、一つ一つ丁寧に切り出していく

予約の取れない人気店『床島』。訪れる人、皆がその美味しさに感動し、また来たいと思うのは、店主・床島さんが全身全霊をかけて、こだわり抜く焼き鳥への想いがあるからこそ。

そんな彼の1日は朝7時からスタートする。キッチン周りの清掃を終え、早速、鶏を捌く作業にとりかかる。

使用するのは、フランスの血統の中から焼き鳥に合うよう生産者とともに独自改良した“床島ブランド”の丸鶏だ。

1日に約4羽、全て当日の朝にさばいて提供。1羽30分ほどかけて捌いていく。

鶏を捌き、炭組みまで午前中に済ませるのが床島流


火おこしにかかる時間は約1時間30分

さばき方は非常に繊細だ。他店なら全てモモ肉としてしまう部位であっても、ふくらはぎ、太もも、そり、おびなど、肉の繊維の流れ方によって細やかに部位を分け、それぞれの味わいの違いを楽しんでほしいという。

鶏を捌き終えると、休む間もなく炭を組む作業へ。新しい炭を敷き、その上に昨晩の消し炭を並べておく。

この状態にセッティングしておき、開店前の16時頃から火をおこし始める。季節によって、炭の状態が変化するため、その時間も計算しつつ炭と向き合う。

焼き場に向かう目に宿る情熱


部位により異なる焼き加減を見極め、一串一串丁寧に焼き上げていく

17時半の営業開始と同時に予約客が押し寄せる。開店から終了まで、ひたすら焼き場に立ち続ける床島さん。

「ささみ」や「レバー(血肝)」のレアな食感、皮付きで焼き上げる「太もも」の肉のパリッとした香ばしさ、これら全てを生み出すのがこの焼きの技術。

だからこそ、片時も気を抜かず真摯に串との対話を続けているのである。

一度食べたら虜になる「タレ」やうまみたっぷりの「塩」…細部への配慮も欠かさない


旨みが詰まったタレ壺へとダイブする串は、一層美味しく変化を遂げる

串の味付けは店に任せてもらえれば、その部位ごとにタレ、塩、わさびなど、最高に合う味付けで提供してくれる。

一度食べたら虜になる秘伝の「タレ」は、醤油、みりん、酒、砂糖などベースはシンプルであっさり。日々、焼き上げた鶏を直にタレ壺に入れて、味付けしていくことで、タレに鶏の旨みがうつり、深みのある床島流のタレへと変化していくという。

少量ずつ作り毎日継ぎ足しつつ、この味を守り続けている。


(写真左から)「ねぎま」、「膝軟骨」、「ちょうちん」、「チーズ」

また、塩は能登産の海塩を使用。口溶けの良く、ミネラル感の強い能登産の塩は、床島ブランドの鶏との相性抜群。鶏の味わいを上手に引き立ててくれる。

インパクトのある味わいゆえ、一口食べれば「この塩、ただものではない…!」ときっと感じるはずだ。

旬を感じる逸品料理もヱビスビールと共に堪能したい


「焼きソラマメ」(写真奥)「トマトと芹のごま和え」(写真手前)

『床島』の魅力は焼き鳥だけに留まらない。旬の食材を使用したメニューもビールが進む逸品揃い。

常連のお客様もいつも新鮮に楽しめるよう、時期ごとに新しいつまみを開発する。そのセンスも抜群なのだ!

初夏になると旨味が強くなるトマトと、爽やかな香りのセリを合わせた「トマトとセリのごま和え」は絶品!

5月に旬を迎える「焼きソラマメ」は、鹿児島県産を使用し、皮目をこんがり焼き上げ、香りを楽しむ。


(写真後列左から)「レバー塩辛」、「トマトと芹のごま和え」、「とりわさ」(写真前列)「レバーパテ」

また「レバーパテ」や「とりわさ」、「レバー塩辛」といった定番の一品料理も見逃せない。

客前にさらりと出してくれるが、このつまみの手数の多さも、「鶏を知り尽くした名店」であることの証明だ。

多彩なつまみを味わう度にビールに手が伸び、どんどん杯が空いてしまうだろう。

カラカラの喉に流し込む最高の一杯はヱビスビール!


焼き場で汗を流す姿を見て「大将もどうぞ!」とお客様からヱビスビールを頂くこともあるそう

朝7時からスタートする1日の仕事が終了するのは24時過ぎ。6時間近く焼き場に立ち続け、カラカラに乾いた床島さんの喉を潤すのは、やはりヱビスビール。

「仕事終わりの一杯は最高の瞬間」と語る床島さん。汗を流した仕事終わりにヱビスビールを飲むと、その喉ごしの良さが際立つという。

長期熟成しているからこそ泡がまろやかで、口当たりは優しく、クリーミー。深いコクと、きりっと締まった味わいのヱビスビールは、何よりのご馳走だ。


店先では『床島』と書かれた行燈が足元を優しく照らす

焼き鳥だけでなく、旬を意識した一品料理に至るまで、『床島』を訪れると「鶏の美味しさを存分に楽しんで欲しい」という床島さんの熱い想いを随所に感じることができる。

その歩みは止まらず、6月には同じ三軒茶屋に新しく焼き鳥の新業態『Buffet Monchant』もオープンするという。予約が取れない名店が手掛ける新店、ぜひチェックしたい。


全席に目を配れるようにとコの字カウンターのみの店内

そんな串一本一本との対話の合間に、ヱビスビールを味わえば、その時間をより充実したものへと進化させてくれるだろう。

一度足を運んでその味を口にすれば、一瞬で店主の「本気」が伝わる焼き鳥。ぜひ味わってみてほしい。