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幻想的なかがり火の下、鵜(う)たちが鮎(あゆ)を獲る漁の様子を、皆さんも写真などではご覧になったことがあるかと思います。夏の味覚の代表格の一つ、“スイカのような香り”の鮎と、鮎を育む清流を様々に楽しむ旅を、岐阜・長良川(ながらがわ)で体験してみませんか?

夏のオトナの味覚と言えば?

photo by ryo shimomura

夏の訪れを感じさせてくれる食材は多くありますが、その一つ「鮎(あゆ)」は、年を重ね、オトナになってからこそ、その味わいの豊かさを理解できるようになるものの代表格ではないでしょうか。

独特の香りから「香魚(こうぎょ)」とも呼ばれる鮎は、育つ河川の持つ特質によって、微妙な味わいの違いを生じることでも知られ、四万十川や吉野川など名産地の近くで育った方の中には故郷の鮎がいちばんおいしく懐かしい」などという方も。

photo by ryo shimomura

今回は、そんな「鮎」の中から、2015年に国際連合食糧農業機関によって「世界農業遺産」に選出された「清流長良川(ながらがわ)の鮎」の味わいとその楽しみ方を、ご紹介します。

①鮎の一生に思いをはせながら、美しい渓流を“遡上”する

PIXTA

長良川は、岐阜・愛知・三重をまたがる濃尾平野を流れる「木曽三川」の一つで、源流は白山連峰にあります。そこから伊勢湾まで総距離166キロメートル。鮎たちは下流で生まれ、鮎漁が解禁になる6月頃までに上流に遡上し、そこで成魚となり、夏の終わりを迎えると、産卵のために川をまた下ります。

遡上したての6月から7月にかけての15cm程度の鮎は「若鮎」と呼ばれ、癖のない素朴な味が特徴。その後、7月〜8月頃に20cm程度の「成魚」となり、味わいの最盛期を迎えます。

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上流の苔を十分に食べた鮎は「スイカのような」とも表される独特の香りを持つように。そして、産卵期のお腹に卵を抱いた「子持ち鮎」、産卵後の「落ち鮎」が下流で獲れるようになります。地元では、この「落ち鮎」を甘く煮て食べるのを心待ちにする方も多いのだそう。

そんな鮎の一生に思いを馳せながら、長い旅を続ける鮎たちがとおる道のりを、まずは実際に訪ねる旅はいかがでしょう。川沿いには、温泉郷などもあり、上流に向かうにつれ、山々の緑の鮮やかさも楽しめます。何よりその水の美しさに心地よい初夏の訪れを感じられるはず。

②夏の風物詩「鵜飼(うかい)」を舟から眺める

提供:岐阜市

長良川の鮎漁と言えば、この「鵜飼(うかい)」で、よく知られています。煌煌と燃えるかがり火の幻想的で迫力ある風景を写真などで見て、一度は直接、近くで観覧してみたいと思っていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

日本書紀や古事記にも記載があるという鵜飼の漁。その歴史は1300年前に遡ります。眠りにつこうとする鮎がかがり火の灯りに驚き、動きが活発になるところを、鵜匠らが巧みな手縄さばきで鵜を操り、捕獲していきます。この際、鵜の首にゆるい「首結い」をすることで、小さな魚は鵜たちが食べ、大きな魚は人間の手もとに残るようにするのだとか。

提供:岐阜市

例年、5月上旬から10月上旬にかけて岐阜城近くの長良川河川で行われる、この鵜飼の漁。川沿いからもその様子を眺めることはできますが、オススメは、漁に同道する観覧船の上から観覧すること。近くで見る鵜匠や鵜の姿が、想像以上の感動を与えてくれるはず。

ちなみに舟はお弁当や飲み物をご自身で持ち込み、観覧するスタイルなので、風情ある船旅をお気に入りのビール片手に楽しんでみてくださいね。

◆名称:岐阜市鵜飼観覧船事務所
◆住所:〒500-8009 岐阜県岐阜市湊町1-2
◆電話:058-262-0104

③厳しい段差もある迫力の川をラフティングで体感する

提供:EARTH SHIP

鮎たちが遡上し、また下る長良川の美しさや迫力を、実際に川に入って体感するのもオススメです。岐阜県のほぼ中央に所在する郡上市を拠点にする「EARTH SHIP」では、大型のボートをみんなで漕ぎながら川を下るリバースポーツ「ラフティング」を、4月末から10月末にかけて楽しめます。

提供:EARTH SHIP

静かな流れのなかで実際に泳ぐ鮎を探すのも楽しみの一つですが、やはり盛り上がるのは、大岩でのジャンプ! 水を浴び、バランスを取りながらの川下りに歓声があがります。ラフティングだけではなく、BBQやキャンプを併せて体験できるメニューもあるので、滞在時間にあわせて選んでみてくださいね。

そうそう、参加される方は水着とタオルをお忘れなく。それ以外のものは全部ショップが準備してくれて、終了後のお写真も無料でダウンロードできるスタイルなので、ご安心ください。

◆名称:EARTH SHIP(アースシップ)
◆住所:〒501-4106 岐阜県郡上市美並町白山1013
◆電話:0120-642-117/0575-79-4070

④塩焼き、刺身、天ぷら・・・極上の鮎の魅力を食べ尽くす

photo by ryo shimomura

たっぷり遊んだら、お待ちかねの鮎料理をたっぷりといただきましょう。山深くの神明温泉に所在する「湯元 すぎ嶋」では、鮎を、その魅力を活かしきる、素朴で丁寧な料理にして食べていただけます。写真は、なんと鮎のおつくり。清流で育った新鮮な鮎が手に入る立地だからこそのお料理ですよね。

photo by ryo shimomura

そして、やはり欠かせないのは塩焼きに、こちらのお宿では、お願いすると特製味噌とあわせた田楽にもしていただけます。鮎のほかにも、山菜やお蕎麦など山里ならではのおもてなしの品がずらり。

お昼に食事だけ日帰りですることもできますが、できればそのままお布団にゴロリとする勢いで、おいしい生ビールと一緒に季節の恵を頼みたいもの。川の香りを漂わせるオトナの味わいの鮎の腹の身の部分を、キレとコクのバランスのよいヱビスビールが一層ひきたててくれます。

◆名称:秘湯の宿 神明温泉 湯元 すぎ嶋
◆住所:〒501-2901 岐阜県関市板取4838
◆電話:0581-57-2532

⑤「子持ち鮎の甘露煮」や「うるか」で帰宅後もビールを楽しむ

photo by ryo shimomura

宿の近くで行える鮎釣りの体験などもオススメ。鮎の身の締まりには急流が、そして香りには良い苔類が必要と言われますが、おいしい鮎を実際にいただくことで、川や森を守る大切さも身にしみてくるはず。

photo by ryo shimomura

お土産には、こちらの「鮎の甘露煮」や「鮎みそ」をどうぞ。ほかにも時期によっては、鮎の内臓で作る塩辛「うるか」もいただけます。いずれも、お酒のあてにピッタリ。帰りの電車の中で、持参のビールと一緒にうっかりすべて食べてしまわぬようにご注意を!

◆名称:秘湯の宿 神明温泉 湯元 すぎ嶋
◆住所:〒501-2901 岐阜県関市板取4838
◆電話:0581-57-2532

いかがでしたか?

提供:岐阜市

いかがでしたか? 現代においても昔ながらの鮎漁「鵜飼」の文化が残されていることや、美味なる鮎が育まれる流域の環境保全に人々が取り組んでいることなどが評価され世界農業遺産に選出された「清流長良川の鮎」。

その味わいと、背景を巡る旅に、ビール片手に出かけてみてくださいね。