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寒さが本格的になる前に、秋のなごりと冬のはしりを楽しむオトナ旅はいかがでしょう? これからでも楽しめる紅葉と、自然豊かな奥山で最高のもてなしとともにいただく初冬の味覚の数々。定番の旅先”京都”の、オトナならではの楽しみ方を、ご紹介します。

意外に長い期間、楽しめる京都の紅葉

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11月中旬から見ごろを迎えた京都の紅葉。古寺や町家の風情とあいまって、最高にフォトジェニックな光景と出会える、旅心のうずく時期ですよね。でも、この時期の京都は宿も食事どころも人気が過ぎて予約が大変。今年も、うっかりタイミングを逃して、どこもいっぱいで取れなかった・・・という方も多いのではないでしょうか。

そんな方に朗報。実は下鴨神社(写真)や北野天満宮、京都御所などのある「洛中(らくちゅう)」と呼ばれるエリアは、12月に入ってからが紅葉のピークというのは、ご存じでしたか?

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こちらは北野天満宮。2017年12月3日(日)まではお茶菓子つきの夜間ライトアップ拝観も楽しめます。

さらに秋の名残りのこの時期であれば、冬の訪れを同時に味わえるという良さもあるんです。最近は、春夏秋冬の4つだけではなく、それをさらに6つずつに分けた二十四節気(にじゅうしせっき)の考え方も見返されていますが、そんな、季節と季節の間の細やかな変化を楽しめるのはオトナならでは、ですよね。今回は、そんな秋と冬の狭間の楽しみ方を、“摘草(つみくさ)料理”で知られる名旅館「美山荘(みやまそう)」で伺いました。

山のほうに行けば、京都の冬の魅力も味わえる

photo by ryo shimomura

洛中で紅葉を眺めたら、京都のパワースポットとも言われる鞍馬寺(くらまでら)や貴船神社を抜け、さらに北上。市中から車で1時間あまりの山村地帯「花背(はなせ)」に美山荘はあります。ちなみに、“摘草料理”というのは、身近な自然から採った山菜や茸などの恵みを活かして作る料理のこと。

もともとは、市中から大悲山・峰定寺(ぶじょうじ)を訪れる参拝客のための宿だった場所を、1937年に料理旅館として増改築し、以来、立原正秋や白洲正子など数々の文人から愛されてきました。

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宿泊できるお部屋は、わずか4室。お昼の食事だけの営業もあり、春の山菜にはじまり、夏の鮎、秋のキノコ・・・さらにはイノシシやシカなど、野趣あふれる自然の恵みを、主人みずからが“摘草”し、美しいお料理として提供しています。

「いつの季節の、どの食材が特に価値があるということはなく、いずれもそれぞれに素晴らしい魅力がある」と、若女将の中東佐和子さん。そのことを先代の中東吉次さんは「野草一味(やそういちみ)」という言葉で表していたのだそうです。

①同じ食材でも季節ごとに味わいが変わることを楽しむ

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たとえば、春に青々とした姿を見せる「朴(ほう)」の樹。その葉は、おむすびを包むのに使います。殺菌効果や、ほのかな香りをつける効果があり、野外で広げれば、そのままお皿にも。

それが秋になり、やがて冬を前に散りはじめると乾かして、丈夫さと香りを活かして朴葉味噌に。年間を通じ、変わる姿をそのときどきに楽しむのです。

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「むかご」と呼ばれる自然薯(じねんじょ)などの山芋の球芽は、餅米とともに蒸しておこわに。おこわの中には、冬に旬を迎える百合根も入っています。秋の旬と冬の旬が重なり合う短い時期ならではの「出会いのもの」。さりげなく芋の葉が飾られているのも素敵ですよね。

②寒さが作り出す甘み・・・冬ならではの味を噛み締める

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冬になると味わいを増すものの代表格が根菜。赤と緑がクリスマスの訪れを感じさせる華やかな煮物椀には、蕪(かぶ)と鰻(うなぎ)を団子にしたものが。ちなみに、主人の中東久人さんは「根菜だけではなく、冬になるに従い、葉ものの甘みが際立ってくる。これをおあげと一緒に炊くのが楽しみ」と言います。

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意外な食材として「鯉(こい)」も、冬においしくなる食材なのだそう。それというのも、冬になると動物たちの活動がなくなり、鯉も、ものを食べなくなるから。

結果として、腹のなかがすっきりとし、独特の臭みがなくなっていくのだそうです。温州みかんのソースや花山椒を添え、パリパリに焼いた鱗(うろこ)の旨みを冷えたビールとともに味わうのは至福の瞬間。

③舌だけではなく目でも季節の変化を味わう

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料理やその器だけではなく、床の間の掛け軸や花にいたるまで心配りがされた宿。知識がないと、なかなか楽しみ尽くしづらいのでは?とも思いがちですが、「都会から訪れた人が、山の中で、ほっとするように過ごしてもらえたら」と、若女将。樹々や花が自然の中にあるのと同じように部屋の中にあるようにと心がけているのだそう。

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日によっては雪がちらつくこともある初冬は、「窓の外の景色もひっそり静かなたたずまいになり、その分、感性が研ぎすまされる」気もするそう。

本格的に寒くなるのを前に、樹々や岩につく苔も枯れるなか、わずかに残る緑が、いつもよりも色鮮やか見えて心を打つ。そんな美しさを存分に味わって帰っていただければ、と部屋の窓から見える山の傾斜にわけいり、従業員総出で掃き清めることも。

④その季節にしかできない“仕事”の話を聞く

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野外に出る時間の短くなる冬ならではの山の“仕事”に触れられるのもこの季節。たとえば、若女将がとりわけに使っている箸も、宿の従業員の手作り。枯れて折れた栗(くり)の枝を、板場の若い人らが中心になって、冬の時間のある際に削るのだそうです。

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粉山椒に添えられたかわいらしい匙(さじ)も、手作り。栗の実の小さなところを見つけては、殻に枝をつないでスプーンの形に。「地元のおじいちゃんが作っておられたのをみんなで真似しまして」と若女将。

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花山椒を炊いて保存食にしたり、山が雪に閉ざされる前の季節の仕事は盛りだくさん。そんな話を、料理を運んでくれる宿の人たちとしながら過ごす時間こそが、オトナの旅の醍醐味かもしれません。

いかがでしたか?

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いかがでしたでしょうか。季節と季節の間の魅力を味わい尽くすオトナ時間。おともは、食いしん坊が行くお店で使われることの多い「ヱビスビール」。おいしいものや素敵なものをよく知るオトナが、きっちり満足できるコクとキレのバランスの良さ。味わいが深いので、冬の甘みを増した食材と合わせても負けることなく、お料理を活かしてくれます。

旅館なら、いつもよりたくさんいただいても、そのままお布団でごろり。みなさんも、そんな贅沢時間を、今年最後の締めくくりに過ごしてみてくださいね。