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いつも頑張っているお父さんに「ありがとう」の気持ちを伝える大切な日が、もうすぐやってきます。そう、父の日です。

「今年はどうやって気持ちを伝えよう……?」と悩んでいる方には、手打ちそばを楽しみながらビールで乾杯、をご提案。

そこで今回は、そばのプロに、おいしいそばを作るために必要なそば粉の選び方や打ち方のポイントを伺いました。

そば粉選びは、そば粉屋さんでアドバイスをもらいながら

\教えてくれたのはこの方!/

今回お話を伺ったのは、神奈川県麺類生活衛生同業組合 副理事長を務める近藤博昭(こんどう・ひろあき)さん。

【プロフィール】
神奈川県麺類生活衛生同業組合 副理事長。自身が職人としてそば作りに携わる一方で、そばの魅力を伝えるべく講座や教室などを開講している。

― まずは、そば粉について教えてください。そば粉には、どのような種類があるのですか?

近藤さん:そば粉は、じつは何百種類もあるんです。ただ、スーパーや百貨店では1〜2種類くらいしか置かれません。本来は何百種類ものなかから選ぶのが普通なんですよ。

― そんなにたくさんあるんですね! そば粉を選ぶことすら、ハードルが高そうです……。

近藤さん:まずは、大きく分けて2種類のそばがあることを知っておくといいですよ。更科(さらしな)そばと呼ばれる白くてツルツルしたそばと、藪(やぶ)そばと呼ばれる江戸で昔から親しまれてきた黒いそばです。

― たしかに、言われてみるとどちらも見覚えがあります。更科そばと藪そばには、どのような違いがあるのでしょうか?

近藤さん:更科そばは、そば自体の”のどごし”を楽しむそばなんです。ツルッとのどを通る、食べ応えが魅力です。藪そばは、のどごしよりは、香りを楽しむそばです。そば粉に違いがあって、そば殻まで挽き込んでしまえば藪そばに使われる、黒っぽいそば粉になります。

また、お店でよく聞く十割そばや二八そばは、そば粉を10割・8割、あとはうどん粉をつなぎとして使ったそばを指します。どちらもおいしいそばですが、家庭で作る場合にはつなぎが多くて作りやすい、三七そばや四六そばがおすすめですよ。

― なるほど! それでは、おいしいそば粉を選ぶためのポイントってあるのでしょうか?

近藤さん:そば粉は、年や時期によって味わいや香りがまったく異なるものなんです。だから、一概に「これがおすすめ!」とは言いづらいですね。

ただひとつ言えるのは、おいしいそば粉を見つけるならそば粉屋さんに足を運ぶのがおすすめです。今の時期においしい、おすすめのそば粉を必ず教えてくれますよ。

そばがおいしくなるための職人技、“水回し”

― それでは、ここからはおいしくそばを打つ手順を教えてください。

近藤さん:そばを打つ手順には、大きく分けて5つあります。水回し・練り・延ばし・畳み・切りです。このなかでも、もっともそばの味わいを変えるポイントは「水回し」です。

― 水回しとは、どのような作業なのでしょうか?

近藤さん:水回しは、ふるいにかけたそば粉に水を加える作業のことです。だいたい、500gのそば粉に対して240cc程度の水を4回に分けて加えながら、だんだんとそば粉を固めていきます。

近藤さん:水を少量ずつ加えながら、ダマにならないように練り合わせていきます。この水回しの工程は、たくさんの経験と慣れが必要なんです。だから、初めてそばを打つときにはすごく難しく感じるかもしれません。早く慣れたい場合には、カルチャースクールやそば屋さんで開催しているそば打ち教室に足を運ぶのもおすすめですよ。

― そば粉がだんだんと固まって、まん丸になってきましたね。

近藤さん:最初はサラサラだったそば粉が、このくらいまで固まったら生地の完成です。固まり具合やツヤによって、そばの味わいがまったく異なります。そば粉の種類や茹で方なんかもそば作りを行う上では大切な要素ですが、じつは「水回し」を含むここまでの作業が一番大切。作り手の腕が問われるポイントです。

― すごく綺麗な生地ですね……! 次は、延ばしの作業でしょうか。

近藤さん:最初は手で少しずつ、その後、麺棒を使って大きく延ばしていきます。だいたい、60cm×45cmの大きさで厚みが1.2〜3mmくらいが目安です。

近藤さん:延ばした後は、畳みといって生地を切るために何層かに畳む作業を行います。この畳み方も、職人やそばの種類によって異なります。

― なるほど。延ばし・畳みが終わったら、最後は切りですね。

近藤さん:包丁とのし板を用いて、だいたいマッチ棒の軸くらいの太さになるように切っていきます。はじめのうちは均等に切るのも難しいですが、切るときのポイントは包丁を引くのではなく“押す”ことです。

近藤さん:できあがったそばは、沸騰したお湯に入れて茹でます。30〜40秒で取り出して水分を切るのですが、じつはおそばの食べ頃って茹で立てではないんですよ。

― えっ? 何分か時間を置くということですか?

近藤さん:そうなんです。だいたい10分くらい置くと、水分がちょうどよく切れて、かつ、そばの風味が広がるんです。だから、でき立てではなく、少し時間を置いてから食べ始めるといいですよ。

日頃の感謝を込めて、お父さんとそばで乾杯

普段からなじみがあるようで、じつはとっても奥が深いそばの世界。

今回は、そばの香りが際立つ藪そばとヱビスビールとを合わせてみました。そばの柔らかい香りと、ヱビスの苦味が合わさって、今まで感じたことのないそばとヱビスの魅力を実感できました。

「そば屋さんでお酒を飲む、ということは今では少なくなりましたが、歴史を辿るとお酒を楽しむことができる店はそば屋が始まりだったとも言われています」と近藤さん。

今年の父の日は、手打ちそばとヱビスビールで乾杯!それが「YEBISU Day」。
それでは、素敵な父の日を!