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ビールの色や味の違いは、どのように生まれる?
ちょっと気の利いたビアパブに行けば、そこには多種多様なビール。そしてそれぞれを注いだグラスをのぞき込めば、味もさることながら、まったく違う色合いに驚かされます。
こうした個性豊かな色合いのバリエーションは、同じブランドのビールでも生まれ得ます。たとえば、17回目の発売を迎えるヱビスの秋冬限定の味、琥珀ヱビス プレミアムアンバー。その名のとおり、琥珀のような深みのある赤い色合いが特徴です。一方、定番のヱビスビールは透き通った黄金色。水と麦芽、ホップと原料を同じにしながら、どうしてこのように色合いが異なるのでしょうか。よく考えると不思議なビールの色合いの秘密を、サッポロビール株式会社で北海道工場長を務める野村真弘さんに聞きました。
サッポロビール株式会社
北海道工場長
野村真弘さん
1991年にサッポロビールに入社。北海道工場製造部、生産部など生産技術に関わる業務に30年以上従事し、2020年4月から北海道工場長に。昨年にはホップの名地でもあるチェコ共和国の名誉領事に就任。ヱビスはもちろん、ラガー系ビールをこよなく愛する生粋のビール党。
ビールの色合いは、〇〇で決まる!
ー 早速ですが、なぜビールは種類によって色が違うのですか。
野村:単刀直入に言いますと、ビールの色合いは麦芽によって決まります。副原料を使用しないヱビスの場合、その原料は水、ホップ、そして麦芽。この中で、色合いを左右するのは麦芽です。試しにホップだけをお湯で溶いても、薄い黄緑色が発色するだけです。ここに麦芽が加わることで、様々な色合いに変化します。
ー しかし麦芽100%なのは、ヱビスビールも琥珀ヱビスプレミアムアンバーも同じですよね。
野村:それは異なる種類の麦芽を使っているからです。通常のヱビスビールではピルスナー麦芽と呼ばれる麦芽を使っています。一方で琥珀ヱビスの場合、カラメル麦芽など複数の麦芽を使用していますが、あの琥珀色を出しているのはクリスタル麦芽という種類の麦芽です。
ー なるほど。使用する麦芽の品種が違う。
野村:細かいのですが、その言い方は正確ではありません。ヱビスビールのピルスナー麦芽と、琥珀ヱビスのクリスタル麦芽は、元は同じ品種の大麦です。異なるのは麦芽にする際の熱入れ。麦芽をつくるには、大麦に水分を与え、わずかに発芽させます。この状態のものは緑麦芽と呼ばれます。この緑麦芽を熱風で乾燥させる「焙燥」を行うと、ほんのりと黄金色になります。これがピルスナー麦芽です。
このピルスナー麦芽に熱負荷を加えると、カラメル麦芽、そこからさらに焙燥させると、クリスタル麦芽になります。つまり熱負荷に比例して、麦芽の色合いも濃くなるのです。ちなみに、段階的に熱入れをせず、緑麦芽を一気にローストして炭のような状態にしたものが、黒ビールに使用される黒麦芽です。
ー 熱を入れれば入れるほど麦芽の色が濃色になり、その麦芽でつくったビールも濃い色合いになるということですね。
野村:そのとおりです。そしてもちろん、色だけでなく、出来上がるビールの味わいも変化します。
ー どういうことでしょうか?
野村:カラメル麦芽やクリスタル麦芽は、熱によって大麦のデンプンが糖に変わります。これはカラメル反応と呼ばれ、ピルスナー麦芽と比べるとほんのり甘くて苦みがある味わいになります。琥珀ヱビスを手にする機会があれば、ぜひその味わいを確かめてみてください。まさにカラメルのような、ほのかな甘みが楽しめるはずです。香りも甘みと苦みが一体となった、琥珀ヱビスらしい奥行きが感じられます。麦芽が変わることで、定番のヱビスビールとは性格の異なる色味や味わい、そしてコクが生まれるわけです。
醸造技術者の経験と勘が、ビールの味を決める。
ー あらためて麦芽の重要性を感じます。逆に、同じ麦芽を使用すれば、同じビールができるのでしょうか。
野村:そうはならないのがビール醸造の奥深さです。同じ麦芽を使っても仕込みの方法や、各種麦芽の配合によっても味や色合いは変わります。琥珀ヱビスであれば、仕込みの際に2段煮沸という製法をとっています。麦汁の殺菌や雑味の除去など、ビール製造においては不可欠な工程ですが、琥珀ヱビスの場合、一度ならず二度行うことで、あの深いコクが実現するのです。
ー どの麦芽を、どのくらい投入するかという配合はどのように決めていますか。
野村:この配合こそ、醸造技術者の腕の見せ所です。狙った味、そして色を作り出すための配合比は、蓄積された研究データも重要ですが、長年の勘と経験がものをいいます。そして、ビールをつくる前の段階、つまり麦芽の製造においても経験が大事になります。
ー 麦芽ことにレシピがあって、そのとおりに熱を入れるわけではない?
野村:大麦は農作物なので、年によって微妙に性質は左右します。前の年と同じ熱の入れ方をしても、同じものができるわけではありません。微妙に異なる大麦を、常にヱビスの最高品質を実現する最高の麦芽とするために、熱の入れ加減や、焙燥時間を微調整していきます。
ー まさに職人芸ですね。
野村:さらに、こうして決めた醸造工程でも、その都度のチェックは欠かせません。常に、人の味覚や嗅覚を使った官能検査で品質を確認しますし、色合いも目視と機器で狙った色が出ているかをチェックしています。
ー スタッフの妥協しないこだわりがヱビスビールの、そして琥珀ヱビスプレミアムアンバーの美しい色をつくっている。
野村:技術が発達した今でこそ、機械を使って色を厳密にチェックしていますが、昔はカラーチャートとビールの色を比較して、本当にアナログな手法で色度をチェックしていました。長年ビール一筋に向き合ってきたので、飲み屋さんなどで新しいビールを見つけると、つい色合いから醸造工程を推測してしまいます(笑)
美しい琥珀色に香ばしい薫りとコクが特徴のヱビスのアンバー
ヱビスが送り出す秋冬の風物詩。クリスタル麦芽を一部使用し下面発酵しているアンバーラガーは、深いコクとまろやかな味わいを実現。宝石のような美しい琥珀色が、大切な方と酌み交わす上質な時間を演出する。
琥珀ヱビス プレミアムアンバーはこちら