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宝船には恵比寿様と一緒に⽶俵がのっていました。

宝船には恵比寿様と一緒に⽶俵がのっていました。

日本人は昔からお米が大好きです。これはおいしいだけでなく、思想と深い関係があります。

日本という国は稲作から始まったと言っても過言ではありません。遥か昔、天照大御神(アマテラスオオミカミ)が孫にあたる邇々芸命(ニニギノミコト)に稲穂を渡し、これを人間の世界で育てるようにと委任したという神話があります。

だから日本の神様には常に稲穂が共にあります。そして奉る際に使われるのが、最初に収穫した穢れのない清らかな稲、初穂です。このことから新しいものが縁起物となり、いつしか新米を格別にありがたいものと考えるようになったのだと言われています。

いっぱいの米俵を宝船にのせて、福を持ってきてくれる七福神。この中の人気者が恵比寿様。今回は米と神様の深い関係についてお話ししましょう。

新米と神様の深い関係

新⽶とは「食品表⽰基準」においては、秋に収穫してその年の12⽉31⽇までに包装された玄米または精米のことを指します。収穫期は地域によりややばらつきはありますが、概ね9月下旬から10月中旬の間に行われます。沖縄のみ初夏と秋の2回収穫があります。

日本では昔から新米をありがたいものとしてきました。理由は、日本のお米は新鮮なほど、水分量が多く、つや、風味、粘りが豊かで、おいしく感じられるタイプのお米だからです。ちなみにお米の原産国のひとつインドでは、数年をかけて乾燥させたバスマティという長粒米が最高級品種となっています。国やタイプによってお米も様々ですね。

ただ、日本人にとって新米は、おいしいだけでなく古来の思想もこめられています。これは神事に見て取れます。たとえば伊勢神宮において毎年10月17日に行われる神嘗祭(かんなめさい)は、年間1500回ある神宮の祭りの中で最も重要な祭りとされ、神聖な田「神宮神田」で栽培された初穂を天照大御神(アマテラスオオミカミ)に奉り、豊穣に感謝し、平安を祈るものです。

その約1か月後の11月23日には、皇居内の神嘉殿(しんかでん)をはじめ、全国の神社で新嘗祭(にいなめさい)が行われ、こちらも神嘗祭同様に初穂を神様に奉り、収穫の感謝をします。

このように初穂を奉るのは、稲作と関係が深い神道という日本独自の教えが柱にあるからです。稲作は元々神々が住む高天原(たかまのはら)で行われているものとされ、天照大御神が御孫の邇々芸命(ニニギノミコト)に稲穂を渡し、それを育てることを委任したという「斎庭(ゆにわ)の稲穂の神勅」という神話から来ています。

初穂は穢れのない神聖なもの。おいしいだけでなく、新米には神様への感謝の気持ちがこめられています。

(参考)
「玄米及び精米品質表示基準」は2015年に「食品表示基準」に統合されました。食品表示基準では、次の場合を除いて「新米」と表示してはならないとされています。
①原料玄米が生産された当該年の12月31日までに容器包装に入れられた玄米
②原料玄米が生産された当該年の12月31日までに精白され、容器包装に入れられた精米

穢れを払い、福を呼ぶ宝船

宝船とは七福神と米俵、金銀、宝石などたくさんの宝物を詰め込んだ帆船のことを言います。新年の季語でもあります。なぜ神様が宝物を積んで船に乗っているのかというと、古来の日本では幸福は海のかなたである異郷からやってくると信じられてきたからです。

また元旦か正月二日、あるいは節分の夜に、宝船に乗った七福神の絵を枕の下に敷いて寝ると、よい初夢を見ることができるという話があります。もしも悪い夢を見てしまったら、翌朝川に流して縁起を担ぎ直すとも。

これは、悪いことは水に流す、という考えからきており、神道の「禊(みそぎ)」が原点にあると言われます。禊を簡略化したものが、神社を参拝する前の手水舎での作法。古くは、御手洗川や祓川で心身を清めていたそうです。伊勢神宮の五十鈴川が有名ですね。

七福神

宝船には七柱の福神が乗っています。諸説ありますが一般的には、大黒天、毘沙門天、弁財天、福禄寿、寿老人、布袋、そして恵比寿の神々です。

なぜ七柱なのかは定かでないようですが、七という数字が仏教で多用されているからとか、中国の「竹林の七賢人」になぞらえたものではないか、とも言われているようです。

始まりは室町時代で、京都伏見において七福神に仮装した風流行列が行われるようになり、祭りや縁日などの風流にも行うようになったと言います。

それがやがて町衆文化へと根付き、江戸時代には正月二日の初夢や七福神参りなどの民間信仰が広まっていきました。七福神参りの習慣は今でも全国各地にあり、江戸では谷中七福神巡りが最古とされています。

七柱の神々の中で、唯一日本で生まれたのが恵比寿。もとは伊邪那岐命(イザナギノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)の間に生まれた子供「水蛭子神」(ヒルコノカミ)、あるいは大国主命(大黒さん)の子である事代主神(コトシロヌシカミ)と言われており(他にも少名比古那神、火々出見命などの諸説あり)、「大漁追福」「商売繁盛」「五穀豊穣」の神として信仰されてきました。

これからは、恵比寿様をはじめ、神々への感謝の気持ちを込めて、お米をいただきましょう。

参考
「イチから知りたい!神道の本」三橋 健 著
「えびすさま『よもやま史話』」西宮文化研究所 編

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