正月の一家団欒を彩る、おせち料理。

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京都・南禅寺畔の「瓢亭」は、創業450年の料亭。朝がゆや、瓢亭玉子が名物だが、新年にその味を堪能するならおせち料理だ。「冷めてもおいしい料理を、美しく詰める。おせちには、日本料理の長けている点がよく活かされていると思います。家族で、いろいろな料理を少しずつつまめるのが醍醐味ですね」伝統を受け継ぐ瓢亭15代目・髙橋義弘さんはそう語る。瓢亭の定番となりつつあるおせち料理は、鰆の幽庵焼き、ぐじの雲丹挟み焼き、サーモン砧巻きなど。料理は時代ごとに進化するもの。瓢亭も慣習ばかりにとらわれず、料理は少しずつ進化している。

家族と幸福を祈る、正月の立役者「おせち」。

仕切りを使わないのも瓢亭の特徴だ。「料理の間には菊の葉を入れています。煮炊き物の隣には酸味のあるものを置かないとか、考えながら盛りつけるので完成には時間がかかりますね」他の品をつぶさないよう、食材ごとの香りが活かせるよう配慮する。お重の中ではすべての料理が主役。職人ならではの細やかな気配りと歴史に裏打ちされた技術が、お重を芸術品のような美しさにまで高めている。おめでたい日の乾杯には欠かせないヱビスビール。最もふさわしい舞台は、やはりお正月の席だろう。「和食とビールは相性がいいですね。ビールの清涼感が、料理によいリズムを与えてくれるんです」ビールとあわせたいおせちは、もともとは五穀豊穣を司る〝年神様〞のための供物料理。家族の1年の繁栄と幸福を祈る縁起物でもある。飲む人に幸せな時間をもたらすヱビスビールは、その願いを後押ししてくれるようだ。「うちも昔は元日が休みだったので、ゆっくりしながら、親父と一緒におせちをつまんだのもいい思い出ですね」父で14代目の髙橋英一さんとは、今でもともに厨房に立つという。おせち料理は、家族の幸福を願う心の象徴なのかもしれない。


瓢亭Hyouei
瓢亭のおせち料理。皿は北大路魯山人の作品。5人前のお重のおせちは、毎年200個以上つくるという。瓢亭本館。江戸時代に創業。京都が誇る料理屋として、地元と観光客の双方から長く愛されてきた。世界に誇る茶懐石の老舗。右:瓢亭15代目主人・髙橋義弘さん。品川弥二郎の書を即中斎が模した軸の前で。