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ヱビスの新たな挑戦、「クリエイティブブリュー」
130年以上の歴史で初めて「レモングラス」に着目。

ヱビスが130年以上にわたって培ってきた技術と知見を活かしながら、これまでのビールの概念にとらわれない新たなビールのおいしさや楽しさに挑戦していく新ライン「CREATIVE BREW(クリエイティブブリュー)」。その開発に起用されたのは次世代を担う若手醸造家、有友亮太さん。ビール業界に新風を起こしている、新ラインの裏側に迫ります。
130年を超える歴史を持つ、ヱビスの新たな挑戦
「1890年の発売以降、ヱビスは常に新しいことにチャレンジしてきました。クリエイティブブリューは、ヱビスが130年以上培ってきた技術と知見を活かしながらも、これまでやっていなかったことにチャレンジしていく新しい試みです。一つひとつのお題はありつつも、それをどう解釈して商品化するかは任せてもらっているので、お客様に驚きを届けることを目標に、日々試行錯誤しています」

昨年2月に発売された、クリエイティブブリュー第一弾「NEW ORIGIN(ニューオリジン)」ではヱビスの歴史を紐解き、1890年発売当時に使用されていたと思われるホップの魅力を活かした伝統と革新が融合した商品を開発しました。10月に発売された第二弾「オランジェ」は、ホップとオレンジが香る濃厚な味わいが特徴の商品。ヱビスでは初めて副原料としてオレンジピールを使用しました。
「ニューオリジンはいままでにないパッケージのデザインも然り、ビールセミナーをやったときにおいしいというご意見を多くいただきました。オランジェに関しては女性の方の反応が多くて、ニューオリジンとはお客様の層が異なっていたのが驚きでした。普段ビールは飲まないけどオランジェはおいしくて飲めるというお声もいただき、新たな層を開拓できたかなと思います」
ヱビスの伝統を革新的な味わいへと昇華させるクリエイティブブリューの挑戦は、ビールの裾野を広げつつあります。シリーズを開発するにあたって、有友さんは「伝統」と「革新」をどのように解釈しているのでしょうか。
「ヱビスブランドでも130年以上、ビールという飲み物と大きくとらえると数千年の歴史があるなかで、新しいことをしていくとはどういうことなのか。昔の知見を拾い、調べて、驚きや創造性をどう見せられるのか。このプロジェクトと向き合う際に心がけているのは、まずお客さまが飲んだときにどういうことを感じて欲しいとか、どういうときに飲んでほしいかを考えること。その実現に向けて、技法や原料のアイディアを組み立てながら試行錯誤していきます」
春夏の季節にふさわしい味わいを目指して

2024年 2月20日に発売される、シリーズ第三弾「シトラスブラン」はシトラホップとレモングラスの絶妙な相性が春夏にぴったりの清涼感あふれるビール。手始めにどのように開発を進めていったのでしょうか。
「春夏にふさわしい清涼感があるビールをテーマに、季節に合った食べ合わせを考えつつ、どんな原料の組み合わせがおもしろいのか、香りをもっと立たせるための工夫はないのかと考えていきました。ヱビスが持つ歴史や技術的な知見も幅広く活用しながら、仮説を組み立てる。仮説をかたちにして、一つひとつ試飲し、その組み立てがベストかを確認しながら開発しました」
今回、味のベースには小麦を選定。ホワイトビールタイプをベースにしながら、より爽やかな味わいを追求していったそう。その開発の過程で有友さんが着目したのが、レモングラスでした。
「『爽やかさ』を表現するために、ホップだけでは表現できない『香り』に特徴のあるビールができないか模索しました。当社は長年、研究開発に力を入れてきており、国際学会でシトラホップとレモングラスの相性の良さについて発表も行っていました。その知見をもとにレモングラスに着目し、エジプト産とタイ産を取り寄せて味や香りを確認しました。シトラホップ以外の選択肢も考慮しながら、ホップとレモングラスの相性を試した結果、最終的にはレモン様の香りが強いエジプト産のレモングラスとシトラホップという組み合わせに辿り着きました」
柑橘系の香りがするシトラホップとフルーティなレモングラスの掛け合わせで、他にはない個性をもつ新商品「シトラスブラン」。ですが、有友さんは醸造家であると同時に、商品全体をプロデュースする立場でもあります。「お客さまが手に取ってもらうまでが開発」と語る有友さんは、ビールの色味調整、春夏の新緑を感じるパッケージデザイン、柑橘系のシトラスと白を意味するブランを組み合わせた商品名を決める場にも立ち合い、アイデアを出したそう。

開発者として、有友さんはこの味わいをどうとらえているのでしょうか。料理との相性を聞くと、「料理を引き立てるという点では、白ワインを飲む感覚に近いかもしれませんが、魚介類の料理やパエリアなどと相性がよいと思います。口のなかをリセットさせる側面もあり、屋外で楽しむBBQなど、味の濃い肉料理にも合わせやすい。スイーツではカヌレとのペアリングもオススメです」と語りました。
革新し続ける「ヱビスらしさ」という表現
醸造家として、一連の商品開発に携わるなかで、最も困難を極めたのは何か。有友さんは、それを「ヱビスらしさ」だと言います。
「ヱビスらしさとして、『豊かで上質なコク、吟味された原料・製法で作ること』を保持していく使命があります。企業として、ヱビスらしさをどう捉えていくのかといった点について、商品開発を通してすり合わせを重ねることも大事な作業だと思っています」
常に革新を続ける、というヱビスの姿勢。「豊かで上質なコク」や「ヱビスらしさ」。これらの要素を時代の流れを感じながら、驚きや発見のある味わいを目指していく。その挑戦こそがクリエイティブブリューの真価なのです。

挑戦はクリエイティブブリューの開発だけではありません。4月にオープンする「YEBISU BREWERY TOKYO」で提供されるビールの醸造も手がける有友さんとマスターブリュワーズルームで、タイミングが合えば直接お話をすることができるそう。ヱビスを飲みながらビールにまつわる質問はもちろん、こんなヱビスが飲みたいという要望も次なるクリエイティブブリューのアイディアとして採用されるかもしれません。
「これからもお客さまに新しい驚きと選択軸に気づいてもらえるような商品を発売していけたらいいなと思います」と、爽やかに語る有友さんのようにヱビスの挑戦はまだまだ続きます。
文・喜多布由子 写真・河内彩
