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廃棄寸前のリーバイス501が知恵と努力で生まれ変わる

廃棄寸前のリーバイス501が知恵と努力で生まれ変わる

リーバイス501といえば、老若男女を問わずデニム好きなら1本は持っているであろう超定番。リーバイスのブランドの歴史は古く、1853年に作業用のキャンバス生地製の作業パンツメーカーとして誕生しました。1880年代に作られ始めたデニム製のパンツが、140年以上経った今も世界中で愛され続けています。
古い501などは「ビンテージジーンズ」としてマニアの垂涎の的となっています。一方で同じ501の古着でありながら廃棄されるものも多数、むしろ99.9%は後者でしょう。発売中の『Pen+ 暮らしを彩る、ヱビスのある時間』では、そんな廃棄寸前のリーバイス501に価値を見出し、新たな魅力を持つリサイクルデニム製品を作り出している山澤亮治さんに取材させていただきました。
今回は誌面では掲載しきれなかったお話と製品作りの現場の様子をお伝えします。

古着の501をリメイクって、どういうことでしょう?

東京都足立区花畑…この地名だけで場所がピンとくる方は都内在住の方でもあまりいないのでは。最寄駅は東武伊勢崎線の竹ノ塚。記憶がたしかなら、編集担当の私Oも下車するのは多分3回目。某ショップの倉庫がこの辺りにあり、その関係で訪れたことがあります。実はこの近辺、某ショップの倉庫もそうですが、実はアパレル業界の下支えをしている施設や企業がいくつか点在している地域なのです。
今日訪問する「ヤマサワプレス」もそうした企業の一つ。セレクトショップやブランドショップなどがお店に出す前の商品のアイロンがけや梱包、検品といったお仕事を担当しているのです。
でも今回はそちらのお仕事の取材ではありません。社長の山澤亮治さんが本業で培った技術を使って古着のリーバイス501をリメイクするという新たな取り組みを始めており、そちらの取材をさせていただきます。町の古着屋さんに行けば501の古着はよく見かけます。そして特に古い501などはビンテージと呼ばれ、目玉が飛び出そうな価格で取引されています。でも、リサイクルっていったいどういうことなのでしょうか?

廃棄寸前の501が「職人技」で生まれ変わる

廃棄寸前の501が「職人技」で生まれ変わる

カメラマンさん、ライターさんと共に住所を頼りに到着。看板的なものは何もないのですが、ショップと思しき建物の前にいらした女性にお声がけすると広報担当のSさんでした。我々の前にも取材が入っており、そちらが一段落するのを少し待って、取材スタート。
まずはお店の中に。元はプレス業の作業場だった所をリメイクしたということですが、いかにも作業場然とした外観とは異なり、ジーンズやデニムで作られたさまざまな商品が陳列され、いい雰囲気です。

元はプレス業の作業場だった所をリメイク

さらに一歩奥に進むと作業場があり、まずは古着の選別がされています。アメリカからやってきた古着の501の塊をほぐし、仕分けしていきます。素人目には汚くてボロボロのジーンズらしきものにしか見えないのですが、本当に使えないものというのはほとんどないそうです。

着古していても生地や縫製はしっかりとしていて、手をかけてあげれば蘇る

山澤さん曰く「着古していても生地や縫製はしっかりとしていて、手をかけてあげれば蘇る」とのこと。「この古着の山からビンテージ物が出てきたりしませんか?」欲に目が眩んだOは聞いてみました。「まずありませんね。そういう段階は全て終わって本当に廃棄寸前っていうレベルなんですよ」なんだそうです。残念!

汚れた501を洗濯機や浸け置き洗い、そして手洗いなどを組み合わせてきれいにしていきます

次はお洗濯です。汚れた501を洗濯機や浸け置き洗い、そして手洗いなどを組み合わせてきれいにしていきます。洗濯機の前でブラシを使い手洗い作業をしている方が…あれっ、どこかで見覚えのあるお顔…渋谷にあったアメカジの名店ジョンズクロージングの河原拓也さんではありませんか。私も仕事やプライベートで何度も訪問。ミドルエイジ以上のファッション好きなら必ず知っているお店でした。

廃棄寸前のリーバイス501が知恵と努力で生まれ変わる

そして、選別をされていた金子さんも長年古着屋さんを営んでいらした古着のプロです。洋服、そしてデニムが大好きな河原さんと金子さん、山澤さんと古くからのお付き合いで、縁あってこのプロジェクトをお手伝いされているのだそうです。

廃棄寸前のリーバイス501が知恵と努力で生まれ変わる

さて、お洗濯が終わり乾いた古着たちは生地やパーツへとほどかれていきます。もちろん手作業です。こうして汚い古着からデニム素材へと生まれ変わり、ジーンズを始めとするさまざまなアイテムへと変身していきます。文章ではカンタンに書いていますが、それぞれの段階で非常に手がかかっています。山澤さんがおっしゃる「価格のほとんどは職人の手間賃」ということがよくわかります。

廃棄寸前のリーバイス501が知恵と努力で生まれ変わる

ちょっと前ならばこうした仕事を「無駄。効率的ではない」と切り捨てる考えも多かったのではないでしょうか。しかし、環境問題が人類全体の課題となった現在、リサイクル、リユースという考え方が重要になっています。しかも、単にリサイクルというのではなく、私たちに「着てみたい、欲しい」と感じさせるお洒落な付加価値を与えているのは、携わっている方々の「想い」なのではないでしょうか。

ジーンズだけではないリメイク501

ジーンズだけではないリメイク501

ここではジーンズ以外の製品についてご紹介します。
まずは山澤さんが着ているGジャンにご注目。前立て部分は501のフロントボタン部分を集めて作られています。胸ポケットは501のフロントポケット部分が使われています。素材としての501をどう使うのか、アイデアがすごいではありませんか。
また、手に持っていらっしゃるジャケットは数少ないブラックジーンズの生地だけを使って作られています。

ジーンズだけではないリメイク501
ジーンズだけではないリメイク501
ジーンズだけではないリメイク501
ジーンズだけではないリメイク501

他にも女性用のワンピースやキッチンミトン、インテリア小物など、デニムの素材感を活かしたさまざまな商品があります。そして、全てに共通しているのは当然のことですが、どれも一点物であること。たとえ見た目の形は同じでも素材(パーツ)の使い方まで同じにすることはできません。これがこのリメイク製品の最大の魅力かもしれません。

時代の流れにマッチしたプロジェクトを支える笑顔

時代の流れにマッチしたプロジェクトを支える笑顔


古着の501をリメイクするというお仕事は、今の時代の流れにも合っていますし、ファッションの大定番である501という製品の力を、違う側面から再発見してもいて、とても素晴らしく、面白い取り組みでした。
それとは別に、印象的だったのが働いている皆さんの笑顔でした。こういうお仕事の現場に取材に入らせていただくことはしばしばあり、今回の企画でも何ヶ所かお邪魔させていただきました。
お仕事の最中にお邪魔して、撮影のために手を止めていただいたり、同じことを何回も繰り返していただいたり…ウン10年前、初めてこうした取材をした時に感じた「お仕事中にすみません」という気持ちは今もあります。こうした気持ちをホッとさせてくれるのは、取材先の皆さんの笑顔です。今回もどの取材先でも皆さんに優しく対応していただき、本当に感謝です。
特に今回のヤマサワプレスさんでは、老若男女、いろいろな方々がお仕事されています。取材するうちにお仕事されている方々の雰囲気を、なんとか誌面で伝えたいと思い始めました。で、当初は予定していなかったのですが、お店前で皆さんの集合写真を撮らせていただきました。それが本誌のトップページに掲載している写真です。このカットはテスト撮影でバタバタ中のところ。幸いにも集合写真を撮るだけのスペースとカメラの「引き」も確保できたので、この写真が撮れました。でも、もしかするとこの撮影が一番ご迷惑おかけしたかもで、すみません。

表紙もここで撮りました!

Pen+「暮らしを彩る、ヱビスのある時間」とは?
Pen+「暮らしを彩る、ヱビスのある時間」とは?

もう一つ、今回の本の表紙に使っている写真もここのショップ内で撮影させていただいたものです。ジーンズの雰囲気とヱビスビールの缶の雰囲気がとてもマッチしたので何カットか撮影しました。そのうちの1枚が選ばれました。表紙はその本の顔です。何案も作って締め切りギリギリまで検討して決定します。自分が担当したページの写真が表紙になるのはやっぱり感慨深いものがあります(ちなみに私は表紙担当ではないので、セレクトに関して私情は入っておりません)。

One-o-Five DENIM TOKYO

最後に、このリメイク製品は「One-o-Five DENIM TOKYO」というブランド名が付けられており、国内で初めてリーバイス本社から公式に許可されたリメイク製品であることを記しておきます。

作業場の片隅に冷蔵庫があり、中にはビールがぎっしり。仕事の後にビール片手に談笑するのが何よりの時間だそうです。残り物(?)で申し訳ないのですが、撮影用に持っていった金色と青色のヱビスもそこに入れてきました。楽しんでもらえたかな…。
今度は取材ではなく、買い物しに来たいなと思いながら、帰途につきました。

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