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天然氷のかき氷で涼を愉しむ、ニッポンの夏。

天然氷のかき氷で涼を愉しむ、ニッポンの夏。

日本の夏を、冷たく美味しく彩ってきたヱビスビール。同じように日本の夏を彩ってきた文化として「かき氷」があります。その歴史は古く、平安時代の作家・歌人である清少納言の「枕草子」にも記述されています。
つい数年前に爆発的なブームを巻き起こしたことも記憶に新しいかき氷。今回は、日本を代表するかき氷店でもあり、ヱビスビールと同じく100年以上の歴史を誇る天然氷蔵元「阿左美冷蔵」の阿左美亮二さんにお話を伺ってきました。

自然との共存、冬の寒さが作り出す天然氷。


—まずは「天然」なのに「作る」って、どういうことでしょうか。
阿左美さん:うちでは秩父地方ならではの冬の寒さを利用した伝統的な製法で氷を作っています。宝登山という山があり、その湧き水の源流に近いところに人工池を設け、そこに湧き水を貯め、冬の寒さで凍らせています。池いっぱいに凍った氷を規定のサイズに切り出し、それを冷凍倉庫に運んで保存。それを1年分使う分だけ出しながら使っています。

—氷作りに関して、大変な部分はどのようなところでしょうか。
阿左美さん:やはり自然のものですので、その年の気候に大きく左右されるところです。特に10年前あたりから気候変動の影響で気温が上がってきているため、氷池の水が凍るまでに時間がかかります。昔は秋口が寒かったので12月上旬には結氷が始まりましたが、今は順調な年で12月末に始まるイメージです。冬の間で作るものですから年間で作れる量が限られていますし、気候変動の影響で年々作るのが難しくなってきていますね。

阿左美冷蔵が歩んできた、その歴史とは。


—昔からこの地で事業をされていたのですか。
阿左美さん:はい、そうです。創業は明治23年で大正時代からこの地で事業をしていたと聞いています。当時は今よりももっと事業規模が大きく、現在の氷池の一山向こうにも氷池が5ヶ所ありました。当時は、電気冷蔵庫がなかったため、食材などの鮮度を保つには氷が必要だったのです。特にこの辺りは旅館や料理屋さんなどが多い地域でしたので、そこに氷を卸す需要がたくさんありました。しかし、昭和30年代から電気冷蔵庫の普及によって需要が減り、昭和50年代あたりには事業を縮小するため、現在残っている池以外は手放しました。

—創業当初からかき氷を扱っていたのですか。
阿左美さん:かき氷を始めたのは20〜25年前あたり、父の代から始めました。父が阿左美冷蔵を継いだ時はまだまだ経営状況は厳しい状態で、マイナスからのスタートでした。しかしちょうどその頃、世の中で環境問題や食品添加物の害などが叫ばれるようになりました。そこで父は「天然氷が再評価される時代が必ず来る」と信じてかき氷をはじめたそうです。それが運良くメディアなどでクローズアップしてもらって、注目してもらったおかげで今現在に至っています。

天然氷のかき氷を美味しくいただくために。


—天然氷とそうでない氷の違いは何ですか。
阿左美さん:氷になっている水の美味しさですね。かき氷の状態ですと、天然氷も純氷もそこまで大きな違いは感じられないと思います。しかし、かき氷を食べ進めていくと、氷が溶け出していきますよね。そうなった時に天然水の美味しさが出てきます。ですから、なるべく氷の美味しさを邪魔しないようなシンプルな蜜をお出しすることを心がけています。

—阿左美冷蔵のかき氷が、一番こだわっている部分とは。
阿左美さん:やっぱり天然氷の美味しさを味わっていただくことに尽きますね。天然氷は人に作れないものですし、既に美味しいものですので、どんな蜜にするかが重要になってきます。氷の味を邪魔しない蜜を追求したところ、ヒントとなったのが枕草子。この書物に出てくるかき氷には、蔦の樹液を煮詰めた蜜がかかっています。蜜は余計な香りなどがないため、氷の味をダイレクトに楽しめます。それをイメージし、5代目の父が試行錯誤の上に辿り着いたのがうちのオリジナルメニューが「秘伝みつ」です。

日本文化の担い手として、未来に思うこと。

—今後の展望などについて、お聞かせください。
阿左美さん:とにかく事業を安定させて、かき氷を次世代にも食文化として残していきたいですね。かき氷は平安時代から貴族が食べていたという文献もあるほど、古い歴史を誇ります。今でも地域によっては、暑い時期に氷室をひらいて氷を食べるという季節の文化が残されていますが、そういう風に古来から日本人の生活に節目節目として出てくる文化ですので、きちんと残していきたいですね。お店の展望としては、より楽しんでお店に来ていただけるように努力することです。かき氷ブームの加熱も落ち着いてきましたので、今は落ち着いた環境でかき氷を楽しんでいただけます。

—阿左美冷蔵さんとして、変わっていないものってありますか。
阿左美さん:変わっていないのは、氷だけですかね。経営者も曽祖父・祖父・父と移り変わってきましたが、水が、気温が、自然環境さえ変わらなければ、100年後も200年後も氷の美味しさは変わりません。だからこそ自然を大切にしていきたいですね。ここ数年での変化と言えば、海外のメディアなどに取り上げていただいた影響で、海外からのお客様が増えたことです。日本のお客様だけではなく、海外のお客様にも喜んでもらえるのは本当に嬉しく思います。

平安時代から日本の夏を涼しげに彩ってきたかき氷。そして2020年に130周年を迎えるヱビスビールも、永きに渡って日本の夏を爽快に彩ってきました。共に伝統的な日本の文化として、今年の夏も楽しんでみてはいかがでしょうか。

取材協力先
◆名称:阿左美冷蔵 金崎本店
◆住所:埼玉県秩父郡皆野町金崎27-1
◆阿左美冷蔵公式ブログ:http://asamireizou.blog.jp/

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