突然ですが、パンの主原料をご存じですか? そう、答えは小麦です。では、続いて、お好み焼き粉の主原料は? こちらも小麦です。では少し質問を変えて、大麦から何が作れるかご存じですか?

そう聞かれて、答えに詰まってしまう方も多いのではないでしょうか。小麦、大麦ともに生活に深く関わる食品でありながら、実は、その違いは意外と説明できないものです。そこで今回は、一歩先行く大人ならぜひ語りたい、小麦と大麦の違いについてのお話です。

食品としての最大の違いはグルテンの有無にあり

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小麦が原料となり生み出される食品にはパンに加え、うどんやパスタなどの麺類が挙げられます。一方で大麦は麦ご飯、味噌、そしてビールの原料として使用されます。最近では体に優しい麦ご飯などに注目が集まっていますが、おそらく、みなさんが口にする機会が多いのは小麦ではないでしょうか。

小麦がパンや麺類の原料として活躍するのは、小麦にはグルテンというタンパク質が豊富に含まれているからです。小麦粉に水を加えてこねると、粘りと弾力性が出てくるのは、多くの方が知るところですが、この粘りを生み出すのがグルテンなのです。グルテンによってパンはふっくらし、麺類は細長く成形できるのです。

一方で、大麦にはこのグルテンは含まれていません(皆無ではない)。そのため大麦でパンを作ると堅い仕上がりになってしまうそうです。ただし、吸水率で軍配が上がるのは大麦です。例えば、健康食として注目を集める麦ご飯ですが、これを小麦で作ると、パサパサになってしまうそうです。

いかがでしょうか。グルテン、すなわち粘りの有無によって、食品の原料としての活用範囲は小麦と大麦では大きく異なってくるのです。

大きいから大麦、ではなかった!?
名前の由来にまつわるエトセトラ

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小麦と大麦を考える上で、ややこしいのがそのネーミングです。英語で小麦は「wheat」。では大麦は「big wheat」かというと、そうではなく「barley」と表現されます。英語では小麦と大麦は明確に異なる名称を持つのです。この傾向はドイツ語でもフランス語でも同様です。では麦の日本語名称に「小」と「大」があるのはなぜでしょう。

名称の由来には諸説あります。小麦は本来、粉にして使用されることが多いから「粉麦(こむぎ)」と呼ばれた、あるいは古くから生産されていることから「古麦(こむぎ)」、または「(用途が)小なる麦」であることから小麦と呼ばれた・・・、などその由来は複数伝えられています。これに対して、大麦の名称は、「大(用途が重要)なる麦」という由来が囁かれています。

食文化が多様化した現代の日本においては、小麦の存在感が強まっていますが、かつての日本ではご飯と共に主食として提供される、あるいは味噌など、食文化のど真ん中で大麦は存在感を発揮していたのです。このような背景から大麦は”主たる麦”として、大麦の名を授かったのではないでしょうか。

大麦or小麦 ビールづくりで存在感を発揮するのはどっち?

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食べる、という意味では、今や小麦の市民権が増しているかもしれませんが、ことビールづくりにおいて、圧倒的な存在感を放つのは大麦です。大麦の中でも二条大麦と呼ばれる品種がビールづくりにおいて一般的であることはこちらでご説明しました。穀粒が大きく均一でデンプン質の含有量が適切。さらに発芽力や酵素力に優れることから、二条大麦はビールづくりの最適なパートナーとなったのです。さらに大麦は19世紀以降、よりビールに適したものとなるべく、品種改良を受けてきました。

一方で、小麦は胚を守る穀皮がないので、精麦の際に壊れやすいという醸造家を悩ませる特性があることから、ビールづくりにおいては、マジョリティになりきれていないのです。

小麦を使ったビールもまた楽し

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では、小麦は全くビールづくりに使用されていないのでしょうか。答えは否、です。小麦麦芽は、よりビールの泡持ちをよくし、清涼感のある味わいを演出してくれる存在として活用できるのです。

シルクヱビスでは、大麦麦芽に加え、この小麦麦芽も使用されています。。今日の晩酌では、なかなか楽しむことのできない、ビールに息づく小麦の味わいを堪能してみてください。