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知っているようで知らない、お盆の謎を考える。

知っているようで知らない、お盆の謎を考える。

当たり前のようにやってくる、お盆。家族で旅行をしたり、故郷に帰って親戚一同で集まったり。新幹線や飛行機、高速道路が混雑する様子はさながら夏の風物詩です。ではいったい、お盆とはどのような行事なのでしょうか? なぜ、お盆=長期休暇のイメージがあるのでしょうか? いつもの風景が戻りつつある今年、改めて「お盆の意味」を考えてみませんか?

謎① お盆は仏教行事なの?

お盆は仏教行事なの?

そもそも私たちが「お盆」と呼んでいる行事は、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という言葉の省略形です。倒懸(さかさづり)を意味するサンスクリット語の「ウランバーナ」やアヴェスター語で死者の霊魂という意味の「ウルヴァン」など、盂蘭盆会の語源はさまざまな説がありますが、行事のはじまりは『盂蘭盆経』にある仏教説話が由来とされます。釈迦の十大弟子の一人に、目連尊者という人がいました。亡き母を地獄の苦しみから救いたいと願う目連尊者に、釈迦は身内にとどまらずすべての人を慈しみ供養し、民は僧侶に施しをし、僧侶はその代わりに民に仏法を説くよう努めよと諭します。この故事を由来として、中国での親孝行の教えや祖霊信仰が、お盆の行事を通じて日本にも根付くようになったともいわれます。

一方で、お供え物を載せる器を古くから「ボン」と呼んでいたことから、日本古来の祖霊祭が中国の盂蘭盆会と習合したとする考え方もあります。飛鳥の推古天皇の時代にはすでにお盆の行事が行われ、奈良時代にはいまのような先祖供養の風習が形づくられていたようです。

謎② 盆踊りはどのように始まったの?

盆踊りはどのように始まったの?

徳島の阿波踊りをはじめとして、いまや一大地域イベントともなっている盆踊り。近年では寺社の境内に限らず、多くの人が集まれる場所で開催されているため、「お盆に戻ってきた先祖の霊を慰め送り出すための踊り」という認識も薄れているかもしれません。

盆踊りの起源は、平安時代の空也上人による念仏踊りとされます。念仏をわかりやすく伝えるために、踊りとして始まったものです。やがてそれが時宗の祖・一遍上人によって、太鼓や鉦を打ち鳴らしながら踊って念仏を唱える「踊念仏」として広まると、念仏布教で集まった人々も踊り始めたとされています。そのうち宗教色よりも娯楽としての色を帯び、人々は衣装や振り付け、音楽にこだわるようになり、室町時代には太鼓も登場。いまの形に近い盆踊りとなりました。

なお、従来は旧暦の7月15日に行われていましたが、この日は十五夜。つまりは満月であるため、人々は夜通し踊りを楽しんでいたようです。

謎③ 地域によってなぜ時期が違うの?

謎④ なぜ「お休み」になるの?

「お盆休み」といえば一般的には8月13日~16日であるように、全国的にはお盆といえば8月のもの。「旧盆」と呼ばれています。一方、東京など一部の地域では、7月15日を中心として行われる「新盆」がスタンダード。この違いはなぜ生まれたのでしょうか。

その理由は、明治時代に行われた改暦によるものだといわれます。明治の改暦では、旧暦の明治5年12月2日の翌日を、新暦の明治6年1月1日とすることで、諸外国との日付を一致させました。国は新暦7月15日にお盆を行うことを原則としましたが、この時期は農繁期。お盆の準備に追われると農作業が滞ってしまうため、一か月遅れの新暦8月15日をお盆とした地域が多くあり、いまでも地域による時期のずれが残っています。

新盆を採用するのは主に農繫期が重ならない地域。東京・横浜の都心部をはじめ、函館や東北・北陸地方の一部などが該当します。また例外として、沖縄は従来の旧盆に合わせているため、ときには9月にお盆を執り行うこともあるようです。

謎④ なぜ「お休み」になるの?

なぜ「お休み」になるの?

「お盆休み」とよく言いますが、そもそもなぜお盆に「一斉休業」するイメージがあるのでしょうか。それは「藪入り」によるものだと考えられています。

薮入りとは江戸時代、住み込みで働く丁稚や女中など奉公人が、主人から休暇をもらって実家へ帰ることのできた休日を指します。藪の深い田舎に戻る様子からそう呼ばれ、年に2回、小正月である旧暦の1月16日と、お盆にあたる7月16日に与えられていました。これは、重要な祭日に実家に戻り行事に参加できるようにするためだったと考えられています。

藪入りの風習は長らく続いていましたが、戦後になると労働スタイルが変容。主に日曜が休日とされるようになると、藪入りという言い方も廃れ、それが正月休みやお盆休みに統合したとされています。お盆に合わせての帰省やお墓参りも、藪入りの名残かもしれません。

謎⑤ なぜ地域によってお供えや食べるものが違うの?

謎⑤ なぜ地域によってお供えや食べるものが違うの?

実は、お盆には「これを供えなければ、これを食べなければいけない」というものはありません。なので、故人がお酒の好きな人だったならビールを――というように、好きなものをお供えすればよいのです。ただ、お盆に食べるものには、地域による違いはあります。

全国的によく食べられるのが、おはぎ。小豆の赤い色には「生命」の象徴であり、特に豆は「魔滅(まめつ)」につながることから魔除けの力があり、ご先祖様を導くものだと信じられていました。お米を使うことで、おはぎには五穀豊穣の意味も込められています。一方で、北海道や東北地方では赤飯を食べる地域もあるようです。

おはぎとともにお供え物の定番なのが、お団子。お団子はご先祖様が帰る際のお土産として供えられることが多いです。この場合、お供えのお下がりを再び加熱して、あんこやみたらし、醤油など好みの味付けをして家族で食べるようです。

また、仏教の殺生を禁じる教えから、肉・魚を使わない精進料理もよく振るまわれます。長野県などの中部地方を中心に広まったのが、天ぷら。天ぷらが精進料理と似た扱いをされていたためです。お中元のそうめんと一緒に食べるという方も多いのではないでしょうか。

お盆にまつわる5つの謎、いかがでしたか?

お盆にまつわる5つの謎、いかがでしたか? みなさんの地域ではどうでしょうか。本来の行事の意味を理解すると、お盆を迎える心持ちも少し変わるはず。日本の夏の大事な風習として受け継いでいきたいお盆。今年は久々に、気兼ねなく帰省するという方も多いことでしょう。お盆の意味を考えながら、おいしいものとヱビスビールを囲んで、家族のルーツについて語らい合うのもまたいいものです。

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