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11月も中盤に差し掛かり、グッと冷え込む毎日が続いていますね。指先がかじかむような日には、おうちでゆっくりと温かい和食なんて、いかがでしょうか。

じつは、日本には「和食の日」と呼ばれる日があるんです。毎年11月24日と定めており、11(いい)24(にほんしょく)の語呂から生まれた日なのだそうです。

大切に守っていくべき文化として、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている和食。来たる「和食の日」には、和食の魅力や楽しみ方について改めて考えてみても良いかもしれませんね。

そこで今回は、和食文化を広める活動を行う「一般社団法人 和食文化国民会議」会長の伏木亨さんと、料理研究家のこじまぽん助さんの元を訪れて、和食の魅力についてお話を伺ってきました。

日頃、あまり意識しない和食文化ですが、ほんの少しでも魅力を知るきっかけになれば幸いです。

和食の文化をつなぐ「和食文化国民会議」に行ってきた

\お話を伺ったのはこの方!/

伏木亨さん
【プロフィール】
一般社団法人和食文化国民会議 代表理事・会長。食品科学者として、龍谷大学で教鞭をとる。『味覚と嗜好のサイエンス』、『おいしさを科学する』、『コクと旨味の秘密』など、著作は多数。

時代は変わる。だけど、残したい和食文化もある

ーまず、和食文化国民会議の活動内容について教えてください。

伏木さん:
和食文化国民会議は、和食文化の保護や継承などを目指して設立された団体です。5年前に発表された、和食のユネスコ無形文化遺産登録を維持継承する民間団体として生まれました。現在は、だんだんと薄れてしまっている和食文化を、より広めていくためにイベントなどを含めさまざまな活動を行なっています。

ーこれまでにはどのような活動を行なってきたのでしょうか。

伏木さん:
ちょうど、今現在行なっているプロジェクトを例にあげて説明しましょうか。ちなみに、みなさんは「五節供」を知っていますか?

ー子どもの日の「端午の節供」などの節供、でしょうか……? ただ、5つすべてと言われると、なかなか……。

伏木さん:
そうですよね。五節供とは、月と日とが奇数月で重なる月に定められた行事を指します。5月5日を「端午の節供」、7月7日を「七夕(しちせき)の節供」、9月9日を「重陽(ちょうよう)の節供」、1月7日を「人日(じんじつ)の節供」、3月3日を「上巳(じょうし)の節供」と呼んで、1月1日のお正月を含めて昔は家族みんなで集まって食卓を囲んでいたんです。

ーそうなんですね。今はなかなか、家族みんなでごはんを食べることが減ってしまいまったように思います。

伏木さん:
時代が変われば文化が変わるのは当然ですからね。ただ、そんな節供を広めるために、「五節供プロジェクト」を開始し、節供を通じて改めて文化を知ってもらう、和食を楽しんでもらうために新聞広告などで打ち出しているんです。

和食の一番の魅力は、だしに含まれる「うま味」

ー伏木さんの考える、和食の魅力ってどのようなところにあるのでしょうか?

伏木さん:
僕は、「うま味」が和食の最大の魅力だと思います。海外と比べても、日本ほどうま味を意識して料理する国ってほかにはないんですよね。

ーうま味、ですか。正直なところ、あまり意識したことはないかもしれません……。

伏木さん:
和食には、多くの場合「だし」を入れて味を調節しますよね。あれは、うま味がぎゅっと詰まった、日本人の知恵の結晶なんですよ。だから、和食の味わいを一番感じられる料理といわれたら、僕はお吸い物やお味噌汁などの汁物を挙げます。

ーへええ! てっきりメイン料理となる魚料理や野菜料理などが和食らしさなのかと思っていました。

伏木さん:
もちろん和食のおいしさはさまざまありますが、今はトンカツや餃子など、昔の文化にはなかったけれど、ご飯に合うように日本でアレンジされて家庭料理の定番となったメニューがたくさんありますよね。あまり堅苦しく「和食はこう!」と決めても、せっかくの料理を楽しめなくなってしまいますから。ほかほかの白米に、汁物とお漬物、そしてお好みのメイン料理を加えたら、もうそれは十分、素敵な「和食」なのだと思いますよ。

料理研究家に和食の楽しみを聞いてきた!

\お話を伺ったのはこの方!/

こじまぽん助さん
【プロフィール】
分子調理学研究家。家庭料理を中心に、さまざまな料理動画をインターネット上に掲載する。得意料理は豚汁

和食は、自然らしさ溢れる見た目から楽しむべし!

ー和食を作るときにもっとも意識するポイントを教えてください。

こじまさん:
やさしい味に仕上げることですね。僕が思うに、やさしい味とは「素材本来の味」のこと。調味料で「味を付ける」よりも、素材そのものが持つ「おいしさを引き出す」ことを意識して調理しています。

ー素材本来の味を引き出すには、どうしたら良いのでしょうか?

こじまさん:
素材にまかせることですかね。

ー「素材にまかせる」とは、具体的にどのような……?

こじまさん:
たとえば、豚汁を例にしましょうか。僕は豚汁を作る際、煮る前に蒸すんですよ。これにはコツがあって、蒸す前の食材に塩分を含ませてあげるんです。そうすると、蒸している最中に食材が汗をかきます。この中に素材本来の旨みがたっぷり染み出すんです。その旨みを余すことなくスープにしてあげる。といった感じです。想像しただけでもおいしそうでしょう? あれこれ調味料を足して味をつけるのではなく、文字通り素材にまかせて「おいしさを引き出す」わけです。

ーなるほど。ちなみに、和食らしさが映える盛り付け方ってあるのでしょうか?

こじまさん:
ありますよ。和食に合う器だとしたら、僕は間違いなく「木」の器をおすすめしますね。汁物の多い和食にぴったりです。

ー確かに和食器には木を使ったものが多いですが、理由があるのでしょうか。

こじまさん:
和食の汁物って熱々でこそおいしいですよね。実際、和食の汁物は、洋食のスープに比べて適温が高いと言われているんです。洋食のスープをすするように飲むとお行儀が悪いと思われがちですが、あれは洋食のスープの適温が低いから成り立つこと。ところが、和食で汁物といったら、すすらないと飲めないぐらいの熱々がいいですよね。そうなると、手に持っても熱くなく、かつ中身は冷めにくいことが重要です。それを叶えてくれる身近な材料が木材。だから木の器を使うんです。あと、見た目からも柔らかな雰囲気が感じられますから。

ーなるほど。機能だけでなく、五感でも楽しめるんですね!

こじまさん:
そうですね。和食の楽しみは舌だけではなく、目や鼻でも感じられるもの。ぴったりの器に盛り付けたら、和食の魅力を再発見できるのではないでしょうか。

日本で暮らす私たちにとって、和食は小さな頃から馴染みのある料理です。ところが、改めて話を伺ってみると、今まではまったく知らなかった和食の新たな側面を垣間見ることができました。

11月24日の「和食の日」まで、あと少し。腕によりをかけてこしらえた和食とヱビスビールとで乾杯してみてはいかがでしょう。改めて和食の魅力を感じながらおいしいビールをググッと一杯。それが「YEBISU Day」。

いつもとは少しだけ違った、和食の楽しみを感じられますように。それでは、来たる冬も温かい和食を食べて笑顔で乗り越えましょう!