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感謝の気持ちを届ける、お中元のマナー。

感謝の気持ちを届ける、お中元のマナー。
お中元は夏の風物詩。お世話になっているあの人に感謝を伝えよう。freeangle / PIXTA(ピクスタ)

日頃の感謝の気持ちを込めて、お世話になった人にお中元を贈る。しかし、いったい何を、どのタイミングで贈ればいいのか、ちょっと悩んでしまいませんか。お中元は伝統的習慣で毎年恒例のものなので、贈る時期や中身、価格帯に気をつかう必要があります。いま一度、お中元の基礎知識を学んでいきましょう。

お中元の由来は、中国道教の行事から。

マナーに入る前にまずはお中元の歴史から。
そもそもお中元は中国三大宗教のひとつ、道教の「三元」という祝い事にルーツがあります。道教では龍王という龍が人格化した存在が神格されていますが、この龍王の3人の孫も天・地・水を司る神として信仰されています。彼らの誕生日をそれぞれ上元(旧暦1月15日)、中元(同7月15日)、下元(同10月15日)として祝うのが三元です。

とくに中元で祀られる地官大帝は「冥界の帝」でもあるため、この日は地獄の門が開かれ、死者の魂の救済を願う行事になったとされます。

お盆の送り火のひとつ、灯ろう流しは中国の中元節から始まったとされる。
お盆の送り火のひとつ、灯ろう流しは中国の中元節から始まったとされる。

そのうち中元は、釈迦が弟子の母親を救った教えから発生した中国仏教の儀礼と習合し、祖霊を供養する盂蘭盆会(うらぼんえ)として広まりました。日本でも飛鳥時代にはお盆の行事としてその風習が伝わっていたようです。

やがて江戸時代には祖霊への供物だけでなく世話になった人へも贈り物をするようになります。この習慣をとくに「お中元」と呼んでいました。そして明治30年代に百貨店が大々的な売り出しによって、現在のお中元文化が定着したといわれます。

その1~お中元の時期は、地域ごとに異なります。

かつては手渡しで贈られたお中元。いまでは郵送が多いため、到着日に気をつけて。
かつては手渡しで贈られたお中元。いまでは郵送が多いため、到着日に気をつけて。

それではお中元を贈る際のマナーについてみていきましょう。まずは贈るタイミングについて。歴史に従えば現在の8月15日が本来のお中元の日です。しかし明治時代の改暦にともなって、国は7月15日を原則としました。

それでも農繁期と重なるなどの理由で8月のままとした地域も多くあったため、いまでも地域による時期のずれが残っています。北海道を除く東日本では新暦基準の7月上旬から15日までに贈るのが一般的ですが、西日本と北海道は7月中旬から8月15日に贈ることが多いようです。一方で、九州では期間が限定されて8月1日から15日までだったり、北陸や東北の一部では旧暦基準だったりと例外もあるので、前もっての確認をおすすめします。できるだけ地域の習慣に合わせて贈るようにしましょう。

なお、万が一お中元の時期を逃してしまった場合は、東日本では立秋の8月7日までは「お中元」ではなく「暑中見舞」とし、以降は「残暑見舞」と書いて贈ります。西日本は8月15日までお中元の時期としているので、「残暑見舞」です。また、相手が目上の方の場合は、それぞれ「暑中御伺い」「残暑御伺い」とします。

その2~何を贈ればいいのか

いざお中元を贈ろうとなったとき、最も頭を悩ますのが、いったい何を、そしてどれくらいの予算が適切なのかではないでしょうか。

先述のとおりお中元は元来お供え物だったので、食べ物が一般的です。なかでもよく贈られるのが素麺。お中元の風習が始まった江戸時代当時、素麺は将軍に献上されるほどの高級品で、かつ日持ちがするため好まれました。また、細長い素麵は、「ふだん会えなくとも細く長くお付き合いを」という願掛けが込められています。

季節柄もあり、素麺は江戸時代から続く人気の贈り物。
季節柄もあり、素麺は江戸時代から続く人気の贈り物。shige hattori / PIXTA(ピクスタ)

もちろんカニや和牛などの高級食材や季節の果物、ゼリーなどのお菓子、そしてビールといった飲み物も定番の贈り物です。何よりも大切なのは好みや環境など相手のことを想って選ぶこと。日頃の感謝を込めて贈るので、相手に喜ばれるものを選びましょう。

あるいは最近人気の形態がカタログギフト。「相手の嗜好がわからず選ぶのが難しいけど、せっかくなら喜ばれるものを贈りたい」と迷っている方におすすめです。

また相場について、3,000円~5,000円程が一般的です。特にお世話になっている相手であれば5,000円以上のものを贈ることが多いようですが、あまりにも高額なものはむしろ非常識とされてしまいます。毎年贈るものなので、長い目で見て、自分にとって無理のない範囲の予算で贈りましょう。

その3~贈るときは熨斗紙を忘れずに

熨斗紙の右上の飾りのようなのが熨斗。あらたまった相手には熨斗紙ではなく、熨斗と水引をつけて贈ります。
熨斗紙の右上の飾りのようなのが熨斗。あらたまった相手には熨斗紙ではなく、熨斗と水引をつけて贈ります。freeangle / PIXTA(ピクスタ)

お中元には熨斗(のし)紙をつけましょう。熨斗紙には熨斗と水引が印刷されています。

熨斗とは火熨斗(昔のアイロン)のことで、元々「熨斗アワビ」を指しました。薄く切った生アワビをアイロンで伸ばしたもので、伸しアワビから来ています。生アワビは平安時代には神饌とし、以降は貴族や武家の祝儀やハレの贈答品としてとても大切にされていました。この名残が熨斗となり、現代ではさらに水引とセットのプリントへと簡略されているわけです。

一方で水引とは、紅白または金銀、金紅2色の紙紐のことです。お中元の熨斗紙はほとんどが何度あっても嬉しい祝事に使われる5本の「蝶結び」タイプが印刷されています。ちなみに結婚には二度とないようにという意味で「結び切り」「あわび結び」となるので気をつけてください。

その4~お中元を受け取ったら、感謝の言葉を

感謝の言葉はすぐ相手に伝えよう。親しい間柄だとお礼状は省くことも。
感謝の言葉はすぐ相手に伝えよう。親しい間柄だとお礼状は省くことも。

受け取ったときは、すぐにお礼の言葉を伝えるようにしましょう。まずは電話やメールで感謝の気持ちを伝え、その後改めてお礼状を送ります。

お中元はそもそもお世話になっている人に感謝の意を贈るものなので、お返しを贈る必要はありません。しかし、友人や同僚、あるいは親戚からのお中元が増えていることで、お返しをする人も多くなっています。その場合は、相手の贈り物より上等なものは避けましょう。

サマーギフトという選択肢

ここまでお中元の作法について紹介してきましたが、一方で、堅く考えずカジュアルにプレゼントできるのがサマーギフトです。感謝の気持ちを伝えるという点ではお中元と同じですが、相場も関係なく、贈る時期も地域に関係なく6月下旬から8月いっぱいまでと幅があります。気軽なプレゼントと考えればいいでしょう。家族や親せき、友人、仕事関係者はもちろん、帰省時の手土産や、時に自分へのプレゼントでもOKです。お中元と同様、相手の好みや家族の状況などを考えて贈り物を選びましょう。

ヱビスビールはお中元にもピッタリ。

コロナ禍の影響もあって、他者とのかかわりが希薄になりやすい現代。だからこそ、あらためて日本の素敵な文化に倣って、お世話になっているあの人へ素敵なプレゼントを贈りませんか。

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