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ビール好きの基礎知識。ホップの正体をあなたは知っていますか?
ビールを語る上で欠かせないホップ。みなさんはホップについてどの程度説明できますか? 「ビールに使われていて……」と言葉に詰まってしまう方も多いのではないでしょうか。
ホップとはビールに大きな影響を与える大事な存在です。ヱビスビールの場合、ドイツ・ハラタウ地方で栽培されたホップを使用することで、爽やかさと芳醇さを兼ね備えた香りが楽しめる一杯に仕上げています。ビール飲みを語るなら、愛するお酒の源流は知っておきたいもの。今回はビールの原材料である、ホップの正体に迫ってみましょう。
一杯のビールに凝縮されたホップという生命
ホップを一言で定義すると、「アサ科に属する雌雄異株の多年生つる植物」となります。
多年生植物とは、複数年にわたって生存する植物のこと。聞きなじみのある多年草や宿根草は多年生植物の一種になります。一方で、一年で枯れてしまう植物は一年生植物と呼ばれ、アサガオやヒマワリなど身近な植物の多くは一年生です。
そして、さらに聞き慣れないのが「雌雄異株」。読んで字のごとく、オスとメスが株によって分かれている植物のことを指し、イチョウやキウイフルーツなども雌雄異株の仲間です。
ところで、ホップは古くからその存在が確認されています。しかし当時のビールにホップはあまり使われていませんでした。古代エジプトやメソポタミア文明期にはすでにビールが飲まれていましたが、薬草が使われていたようです。ホップがビールに使用されるようになったのは14世紀以降のヨーロッパ。以降、ホップ栽培も普及したとされています。
ホップは春に芽を出し、その後グングンと生長。そして花の咲き始める初夏には、なんと7m近くまで育ちます。しかし、巨大に育ったホップからビールの原材料として使用されるのは、メス株にあるわずか数cmほどの球花と呼ばれる花の部分のみ。この球花を割くと現れる「ルプリン」という器官こそが、ビール造りに大きな役割を果たすのです。
ビールに香りと苦みを与える、ホップのチカラ
まずは苦みの付与。ルプリンに含まれるα酸が麦汁煮沸過程でイソα酸に変化し、味わい深い苦みをビールに与えます。つまりイソα酸が多いほど、そのビールは苦みも強くなります。
さらにイソα酸には、泡持ちをよくしたり、微生物の増殖を抑える抗菌効果、そしてビールを清澄する作用も。ホップはさまざまな効果を発揮する、ビールにおける万能な存在なのです。
そして、ビールから漂うさわやかな香り。これを作り出すのはホップの精油です。世界に300種以上あるとされるホップですが、ビールづくりの観点では、香りや苦みの多寡によって大きく3種類に分類されます。
ファインアロマホップ
香りや苦味が上品なホップ。ほかのアロマタイプやビタータイプに比べて穏やかで上品なことが特徴。チェコのザーツが代表的。
アロマホップ
ホップの香りを重視したホップ。ドイツバイエルン産のホップはアロマホップに該当。
ビターホップ
ビールに苦味を付与したいときに投入。代表種にドイツのマグナムホップなど。
この分類に加え、生育地や生産方法の違いによって、ホップのキャラクターはさらなる広がりを見せます。ビールの醸造技術者達は、あまたあるホップの中から最適な品種を選出。投入量や添加のタイミングを調整することで、デザインしたい苦み、そして香りを作り出すのです。
「麦酒」という言葉のとおり、ビールの骨格を形作るのはたしかに麦です。しかし、その陰でホップは、香りや苦みといったビールの個性を引き出す、いわば演出家の役割を果たしています。麦と同じくらいホップの特性が、ビールには凝縮されているのです。今日の晩酌では、黄金色のグラスを少し鼻に近づけて、この素敵な演出家のお仕事を楽しんでみてください。