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肉こそビールのつまみの王道!美味しく肉を焼くためのノウハウを徹底伝授

肉こそビールのつまみの王道!美味しく肉を焼くためのノウハウを徹底伝授

煙モクモクの焼肉屋で、熱い汁したたる肉をほお張り、間髪入れずにビールをゴクッ!
人生の至福のひとときとはまさにこのこと。
いや、ちょっと待った。
それは「ただの」ビール好き、肉好きがやること。ヱビス好きは違います。
上質なビールを愛する皆さんは、焼き方までこだわった肉の旨味、深みとのマリアージュを楽しめないと、満足できないはず。焼肉店の実地調査や学術論文の読み込みを積み重ね、いま日本で最も肉に詳しい専門家の一人と言われる松浦達也さんは、本当に肉を美味しく味わうには家で焼くのがオススメと言います。今回は、肉焼きの極意を松浦さんに教わりました。

2016_35_01肉焼きの専門家

フードアクティビスト 松浦達也さん

調理の仕組みや科学、食文化史などを踏まえ、料理誌から一般誌、新聞、書籍、Webまで幅広く執筆、編集を行う。テレビ、ラジオ番組では食のトレンドやニュース解説も。著書『家で「肉食」を極める!肉バカ秘蔵レシピ 大人の肉ドリル』(マガジンハウス)は、肉好きにとっての「教科書」、ときに「バイブル」とまで呼ばれ、絶大なる支持を受けている。近著『新しい卵ドリル』には、肉焼き用卵黄ダレの詳細も。

焼きすぎないこと、美味しいタレを用意すること

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―ずばり、家で肉を本当に美味しく焼く“極意”を教えていただけませんか。
松浦:「家で」というのは気になるひと言ですね。正しい知識とある程度の経験さえあれば、「家でこそ」肉が美味しく焼けるんです! みんなでワイワイ焼肉だと、話に夢中になって焼きすぎてしまうことも。高級店でも、自分好みの肉が出てくるとは限りません。僕は「家肉(=家で肉を食べること)」をぜひオススメしたいですね。

―恐れ入りました。それで、極意のほうは・・・(笑)。
松浦:焼きすぎを避けること、美味しいタレ(ソース)を用意すること。この2つです。

―それだけですか?
松浦:それだけでも、じつは奥が深いんです。まず、焼き方。「表面を強火で焼き、旨味を閉じ込める」って話、聞いたことありませんか?

―あ、あります。焼肉屋さんで網焼きしていると、肉汁がたれ落ちてもったいないですよね。
松浦:ノー。プロの世界でもいまだに誤解されている方がいるんですが、先に表面を焼き固めても旨味を閉じ込められないことは、100年ほど前にヨーロッパで書かれた論文で明らかになっているんです。ほかにも、「中が冷たいくらいの焼き方がレア」も誤解。肉に精通したレストラン、料理人さんがインターネットなどを通じて直接発信するようになり、近年、ようやく正しいお肉の調理法が少しずつ広まってきています。

「家肉」を盛り上げるヱビスの美味しさのヒミツはこちら

肉焼きの心得は「気弱であれ」

―不勉強、お恥ずかしい限りです。じゃあ、どう焼いたらいいんでしょう?
松浦:僕のオススメはこんな感じです。

2016_35_031.火が一気に入りすぎないよう、厚みが最低1.5cm、できれば2cm以上の肉を用意する。 2016_35_042.適度に塩をふる。食べる時にソースをつけるなら、塩は肉の重量の0.3〜0.5%が理想。胡椒は後がけがおすすめ。和牛の場合は必要ないかも。
2016_35_053.フライパンに油を多めにひく。牛脂、オリーブオイル、ピーナッツオイルがオススメ。 2016_35_064.強火で表面10秒、裏面10秒ほど焼く。
2016_35_075.フライパンの上に焼き網を渡して肉をのせ、1分ほど休ませる。こうすることで肉全体に均一に火が通る。 2016_35_086.4と5のプロセスを数回くり返して完成!

―ずいぶん慎重な焼き方ですね・・・。
松浦:肉焼きの心得は「気弱であれ」です。とにかく焼きすぎは厳禁。火が通りすぎるのを恐れて、何回も網の上で休ませながら気長にゆっくり焼くくらいがいい。冷たいうちは固く感じられた肉も30~40℃台で柔らかくなり、50℃くらいから再び弾力が出てきます。60℃付近でグッと弾力が増し、75℃を超えると肉汁がすっかり流れ出してしまいます。そこで、指やトングで触って弾力を確かめつつ、固くなる手前で仕上げるのです。このあたりの微妙な感覚をつかむには多少の経験が必要になりますが、上のようなサイクルで固さを確認しながらゆっくり焼けば、まず間違いないでしょう。

網焼きは温度コントロールが難しい

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—調理器具はフライパンがいいんでしょうか。焼肉店だと、網を使って炭火焼きのお店が多いですよね。
松浦:焼き網は熱のムラが大きいので、コントロールが難しいんですよね。炭火だと網の中心部は500℃オーバーで、縁のほうは100℃くらいだったりします。この位置による温度差をうまく使いこなせるなら、網もいいでしょう。でも、みんなでワイワイやるとき、そういう繊細な網上の管理は困難です。全体に均一に火を通し、表面に焼き色をつけるのが目的の赤身肉は鉄板(フライパン)がおすすめ。皮全体から水分を抜くようにパリッと焼き、脂身の側からは温める程度に焼きたいホルモンは焼き網で、と使い分けるのがいいと思いますね。

—ちなみに、肉はどんな部位を選んだらいいでしょうか?
松浦:ごちそう感のある最高級の部位と言えばやはりサーロインなのでしょうが、僕としてはランプ(=腰から尻にかけての赤身)やイチボ(=尻の先)がオススメ。値段もサーロインの7〜8割とお得感があります。肩ロース(=肩から背中)やミスジ(=肩甲骨の下)も同様です。ただ、ランプやイチボに近い部位のモモ肉、とりわけ外側のソトモモは固くなりやすいので、薄切りを前提に考えたほうがいいと思います。

ヱビスビールとのマッチングなら
ソースを複数用意し、それぞれの味わいを楽しんで

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手前の小皿は、左から時計回りにチミチュリ、山わさびじょうゆ、卵黄割り下ソース、モーリョ

―もう一つの極意は、美味しいタレ(ソース)を用意することでした。
松浦:きょうはヱビスビールとのマッチングが最高のソースを4種類用意しました。ヱビスは味の骨格がしっかりしたビールで、ガツガツ肉をほお張り、ガブガブビールを流し込む、というアメリカ的な楽しみ方にはそぐわないんです。料理をひと口ひと口楽しみながら、その合間にヱビスビールの味わいがあることで、そのひと口ひと口のおいしさが引き立つ。濃厚なコクとしっかりした苦味があって、強い料理にも負けない、ヱビスビールだからこそできることですよね。

<材料>2~3 人分

■チミチュリ ※以下を混ぜる
パセリ(みじん切り)・・・大さじ3
にんにく(みじん切り)・・・1かけ
オリーブオイル・・・大さじ3
白ワインビネガー・・・大さじ2
塩・・・小さじ1/4

■モーリョ ※以下を混ぜ、一晩冷蔵庫でなじませる
トマト(さいの目切り)・・・1個
玉ねぎ(みじん切り)・・・1/4個
イタリアンパセリ(みじん切り)・・・大さじ3
オリーブオイル・・・大さじ1
白ワインビネガー・・・大さじ1
塩・・・小さじ1/4
カイエンペッパー・・・適宜

■卵黄割り下ソース ※卵黄以外の材料を小鍋に入れ、ごく弱火にかける。沸騰したら火を止めてそのまま冷まし(すき焼き用の割り下で代用も可)、卵黄を溶き入れる。
卵黄 2個分
醤油、みりん、酒 各大さじ1
砂糖 小さじ1
水 50ml
昆布 5cm角1枚

■山わさびじょうゆ ※以下を混ぜる
山わさび(すりおろし) 大さじ3
醤油 適量

―ビールと焼肉のためにソースを4種類とは、贅沢きわまりないですね!
松浦:家肉の場合、場の雰囲気やゲストの高揚感も美味しさをプラスしてくれる面もあるので、こういうひと手間も大切だと思います。きょう用意したのは、国民の数より牛のほうが多いとも言われるアルゼンチンの「チミチュリ」、ブラジルの肉料理には必須の「モーリョ」、焼肉の名店ではいまや定番となった「卵黄割り下ソース」、脂身の多い肉に合う「山わさびじょうゆ」。いずれもヱビスビールの苦味や香りと絡み合って、肉焼きの世界に奥行きを与えてくれます。

―今夜は肉焼きに決定!直伝の極意、試してみます。ありがとうございました!

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