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アート&クリエイティブな場に「改良」した、創業100年以上の老舗銭湯
先月からシリーズでお伝えしている「Pen+ 恵比寿の街からひもとく、ヱビスの世界。」の取材裏話。本誌ではヱビスビールのお膝元である恵比寿で暮らす人々にご登場いただきましたが、さすが地元の人たちだけあってヱビスビールに対する愛や街との関わりについて語っていただくと話が尽きないもの。
なかでも、相当な古株なのが、恵比寿と渋谷のちょうど中間にある住宅街に軒を構える改良湯さん。第一次大戦後に地域密着型の銭湯として創業した超がつく老舗です。
一方で、現経営者の大和さん夫妻が2014年に経営を引き継いだ際に大幅リニューアルを敢行。昨今のサウナ&銭湯ブームも相まってさまざまな企業やクリエイターとのイベントを行うなど、イマドキっぽさもある話題のスポットでもあります。
渋谷近隣で働くサウナーたちから「改良湯はいいよ〜」とオススメされていたこともあり、実際に訪れるのを楽しみにしながら現地に向いました。
明治通りから改良湯を目指して裏路地に入ると、まずはドドン!! と迫力のある鯨の壁画がお出迎え。emi tanajiさんというアーティストの作品だそうです。
――銭湯の壁画と言えば富士山が定番ですが、なぜ鯨なんですか?
大和さん 「『鯨ひとつで七浦潤う』と言われてきたように、古くから鯨は富や食べ物をもたらしてくれる存在であり、福の神であり、漁の神様である恵比寿様の化身として扱われてきました。この街も2013年から恵比寿鯨祭というフードフェスタを開催しているんですよ」
――なるほど。恵比寿愛が込められているモチーフだったんですね。
大和さん 「改良湯のリニューアルに際に壁画の公募をした際に、emiさんが鯨の絵を持ってきたんです。絵のタッチも素敵でしたし、運命的なご縁も感じて依頼することにしました」
ちなみに、emiさんは高校時代に『銭湯絵師になりたい』という夢を抱いていたそう。渋い……!! 改良湯さんとのプロジェクトで、見事にemiさんの夢も叶ったといえそうです。
そして、高級料亭やお忍び旅館のようなモダンなアプローチをくぐって番台を目指すと、目も覚めるようなポップな暖簾が登場。
大和さん 「ちょうど今(2022年7月当時)は渋谷PARCOとタイアップしたイベントを開催中で、この暖簾はイラストレーターの中村杏子さんが手がけたものです。そのほかにもPARCOオリジナルのアロマロウリュやオリジナルグッズの販売もやっています」
改良湯では男湯にオートロウリュ付きサウナと外気浴スペース、女湯には遠赤外線サウナにリュミエリーナのレプロナイザーという高性能ドライヤーと、それぞれのニーズに合わせた設備を用意しています。
着替えスペースは棚を取り払ってひと続きにできるそうで、人気パーティークリエイターのアフロマンスさんがオーガナイズし、お風呂で踊る銭湯フェスも開催したといいます。楽しそう!
それにしても浴室内はまるでデザインホテルの浴場のような空間。銭湯といえばできるだけ明るくする空間づくりが多いものですが、改良湯では照明を絞っているところも印象的です。
大和さん 「改装は銭湯設計を得意とする建築家の今井健太郎さんにお願いしたのですが、そのプランで唯一反対したのが天井や壁の色が白だったことでした」
――と、言いますと? 明るくて開放的な気もしますが……
大和さん 「お客様からアンケートを取った時に、『身体が見えすぎて恥ずかしい』という声をいただいていたんです。それでリニューアルの際に洗い場などでほどよく視線を切るような造りにしつつ、照明も明るすぎないように抑えて、壁や天井も黒にしてもらいました」
そして銭湯と言えば壁画が欠かせません。改良湯ではフジロックフェスティバルをはじめ、さまざまな野外フェスでライブペインティングを披露する売れっ子アーティストのGravityfreeにペイントを依頼しました。
大和さん 「夫婦ともにGravityfreeのファンだったので、ぜひお願いしたかったんです。在りし日の渋谷川から富士山を臨むモチーフで、恵比寿と渋谷の街並みも描いてもらいました」
ここにも地元愛が込められているんですね。それにしても銭湯フェスといいGravityfreeといい、おふたりのフェス好き具合が感じられます……。
もちろんサウナでととのった後は、ビールで乾杯! いい汗をかいた後のビールは至福のひととき。濃密でリッチな味わいのヱビスビールでチルしてはいかがでしょう。
有名建築家の手がけた空間に売れっ子イラストレーターやアーティストの作品が飾られ、企業とのコラボレーションや話題のイベントを開催したりオリジナルグッズを作ったりと、従来の銭湯の枠組みにとらわれない取り組みを続けている改良湯さん。これだけオシャレな空間でありながら、いわゆるスーパー銭湯ではなく公衆浴場のため、入浴料が500円とリーズナブルなのも嬉しいところ。さまざまな銭湯を巡ってきたサウナーたちがオススメするのも納得ですし、若い世代やクリエイター系の利用者も多いといいます。
いまやトレンド発信地として認知されつつある改良湯。考えてみればかつて銭湯は交流と文化発信の場でもありました。改良湯さんは令和の時代らしい“改良”を経て、銭湯本来の在り方に原点回帰したのかもしれないな、と感じました。
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