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恵比寿駅高架下の壁画を描いた若きクリエイター 白川深紅さんのアートな人生

恵比寿駅高架下の壁画を描いた若きクリエイター 白川深紅さんのアートな人生

発売中の『Pen+恵比寿の街からひもとく、ヱビスの世界。』では、2022年5月に恵比寿駅の北側、JR山手線と駒沢通りが交差する高架下の壁が明るくポップにリニューアルしたことをご紹介しました。そのポップアートの作者は、現役東京藝術大学生の白川深紅(しらかわ しんく)さん。

彼女がアートの道に進もうと決心したのは小学生の頃。江戸時代の絵師・伊藤若冲(いとう じゃくちゅう)の作品と出会い、「よし、私は美術をやるんだ!」と心に誓ったと話します。

「私が育った恵比寿は美術館がいっぱいあったこともあって、アートがすごく身近に感じられる街でした。恵比寿にはいろいろな人がいることも、私の感性に好影響だったかもしれません。近所に居た能楽師の先生の影響で、放課後の課外活動でお能のワークショップを始めたこともあります」

白川深紅さんのアートな人生

もちろんベースには白川さん自身が絵画や漫画が大好きで、かつ得意であったということがあります。小学6年生の時に、雑誌『りぼん』の小学生漫画大賞で「ほぼ漫画家で賞」を受賞し、中学3年生の時には渋谷区のコンクールでデザイン賞を獲得。ほかにも、「世紀のダ・ヴィンチを探せ 2015」で銀賞など、さまざまなコンクールで表彰されています。

そんな才能に溢れた白川さんでも東京藝術大学の壁は高く、4年もの月日を費やしたのちに、ようやく先端芸術表現科に合格しました。いよいよクリエイターとしての道を邁進……かと思えば、“現代の伊藤若冲を目指す”ために自問自答を始めます。「江戸時代の絵画を学ばなきゃいけない?」「いやいや、江戸時代の絵画って、現代ではもはやデザインの一種なのでは?」。悩んだ挙句、デザインと日本画を並行して勉強することにします。ぐっと我慢して地固めを選択した結果、アートの幅や手法のバリエーションが増えたわけです。

技術の修得に励む傍ら、小学生の時から続けていた「コンクール応募」にも注力。そのひとつがこの恵比寿駅高架下の壁画アートだったのです。

恵比寿駅高架下の壁画アート

「コンクールは、自分の作品を客観的に評価してくれます。その評価を知ることで、自分自身も今までとは違う角度から自分の作品を見ることができる。加えてコンクールを通じていろいろな人と知り合うことができるので、自分の世界が広がるというメリットもあります」と語る白川さん。

また、コンクールに応募し、かつ“賞”を狙うとすると「良いアートを仕上げる」だけでなく、いかに自分をアピールするか。すなわち自己プロデュースを磨くことにも繋がると白川さんは言います。

恵比寿駅高架下の壁画アート

プレゼンでは、高架下の雨の汚れに対処した工夫を提案。「雨が降ると壁の表面を水が流れ落ち、泥やカビなどで薄汚れてしまいます。そこで水が流れ落ちる所をチェックし、そこには汚れがつきにくい塗料を使い、汚れが目立たない色でカバーしようと提案しました」と話します。

こうしたリサーチ力や発想力をアピールすることが彼女の魅力。だからこそ恵比寿の人たちから支持を得て、一般投票を経て恵比寿駅高架下壁画アートの作者として選ばれたのです。

彼女は鉛筆描きも入れると40回ほどのラフコンテを作成。天候や製作時間帯に制約されながらも、駒沢通り沿いの両側に渾身のアートを完成させました。

そんな壁画の中には白川さんの思いや遊び心がたくさん! たとえば、壁画のある部分に屈むと“風船に掴まって空中散歩”できたり、あるいは壁画の他の前に立つと“耳が恵比寿様のような福耳”になったり……。

恵比寿駅高架下の壁画アート

お祭りや商店街のシーンにはたくさんの人々が描かれていますが、幼稚園の同級生で後に日本陸上界の大スターとなったサニブラウン・アブデル・ハキーム選手や、白川さんが大好きなミュージシャンのスティングも隠れています。

恵比寿駅高架下の壁画アート

さらに小学生の集まりの中には、「私も居るんですよ(笑)」とか。

ビールと美味しい料理の街、恵比寿を訪れた際は、ぜひとも駅北側の高架下に立ち寄り、壁画の中の隠れキャラを探してみてください。SNS映えもバッチリですよ!

pen
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