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誰に言われるでもなく、好きなことに没頭できるのは大人の特権。この時間があるからこそ、仕事の疲れも吹き飛び、明日への一歩が踏み出せる。
この連載では、ゲストの幸せな時間にフォーカスし、その幸せをおすそ分けしてもらう。

連載第1回のテーマは「温泉」。日本人にとってなじみ深い「温泉」だが、月に何回も行く人となると、限られてくるかも。今回は、温泉芸人としても知られるやついいちろうさん(エレキコミック)と、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、温泉で過ごす時間やその魅力について語り合ってもらった。

父の「今日は銭湯にいくぞ」がお風呂好きの原点。

植竹 やついさんは、どういうきっかけで温泉好きになったのですか?
やつい 子どもの時、我が家にお風呂がなかったんです。洗濯機に入って体を洗っている写真が残っているんですよ。
植竹 ご、五右衛門風呂!
やつい だから毎日ではないけれど「今日は銭湯に行くぞ」という日はうれしかったんですよね。父と入って楽しかった。それが原体験かな。家に風呂がついてからは、何かというと風呂にはいっていました。読書も受験勉強も風呂でやっていました(笑)。清潔というイメージもあるし、器官が弱かったのでお風呂の湿気が気持ちよかったのかも。
植竹 私の場合は、岩手のめんこいテレビで仕事をしていたころ、上司に「いつか関東に帰るなら、北東北の温泉に行っておくといいよ」と言われたのがそもそものきっかけです。それから温泉巡りをするようになりました。それまでは、温泉というのは、海に行ったり、山に行ったりしたときについでに入るものでした。勧められるがままガイド本を片手に北東北にある温泉をいくつか巡ってみたところ、肌がすべすべになるなど、湯がもつ実力に感銘を受けてしまい、調べるうちにおもしろくなり、はまりましたねえ。今では月に2回は、泊まりで行っています。

やつい 僕は、銭湯も含めると、週に1度くらいですかね。仕事の打ち上げに行く前にも、みんなで一度お風呂に行くんですよ。それから飲んだ方がうまいから。そのほか、仕事で地方に行くときは、必ず近くの温泉を調べていきます。
植竹 いいですね。偶然発見した温泉がよかったりするのもうれしいですよね。

多種多彩な温泉ワールドの魅力は、行ってみなけりゃわからないご当地感

やつい 気軽に行ける近くの銭湯も好きだけれど、地方の温泉のご当地感もいいですよねえ。温泉って食べ物みたいに持ってくることはできない。絶対にそこにしかないというところが楽しいです。海外の温泉も結構行きますが、ユニークなところがたくさんありますよね。
植竹 どちらに行かれましたか?
やつい 去年はゲレールト温泉という、ヨーロッパのなかでも有数の広さを誇る温泉に行ったんですが、有名なので世界中から人が集まっている。アメリカ人、中国人、アラブ人。そして日本人の俺。みんなで湯につかっていると、しみじみと世界平和だなという気持ちがしてきちゃう。建物自体がすごく古いから、十字軍が入った風呂なのかなとか考えながら入るのも楽しかったですね。
植竹 いいですね!私は、アジアが多いです。台湾や韓国を中心にベトナム、タイなど、アジアにも温泉って実はたくさんあるんですよ。
やつい 暑いところでは、温泉より海に行きたくなっちゃうなあ(笑)

植竹 日本の温泉だったらどこが好きですか?
やつい 僕が一番好きな泉質は硫黄なんですけれど、硫黄の温泉で一番よかったのは、鹿児島の霧島の奥にあった温泉かなあ。
植竹 『霧島の新燃荘』?
やつい そうそう! 内風呂に30分以上入るとガスで死んじゃうよって言われて、硫黄好きとしてはこれはすげえなと思いました。硫黄が強すぎて、入るとぐったり疲れます。虫がそこら中で死にまくっているんですよ。でも、湯の色は白を超えていて水色でとてもきれいで、景色も良くて、いいんですよ。
植竹 あそこの内風呂は特に濃厚ですよねえ。ほかには、おもしろかった温泉はありますか?
やつい つい最近、友達と3人で大阪の『スパワールド』に行ってきました。めちゃくちゃ広かった。入口で会ったきり、2時間友達に会えなかったです(笑)。国ごとに風呂が分かれていて、巧妙な造りで、見つけられないんですよ。移動していても、じっと待っていても会えない。
「どこにいたの」「バリにいたよ」「おれはイスラムにいたんだよ」なんて会話も楽しいですね。
植竹 私はどこか一つ選ぶなら、熊本の『わいた山荘』がよかったですね。美肌に導くメタケイ酸がお湯に溶け込んでいて、とても気持ちがよかったです。

温泉は人と人の距離が縮まり、仲良くなれる場所

植竹 温泉の魅力って、至福のくつろぎでもあるし、私にとっては「美の追求」だったりもしますが、やついさんは何だと思います?
やつい 僕、温泉に入っている人たちの油断している会話が好きなんですよね。
植竹 あ。確かにそれはありますね。 
やつい 地元の土地の話や駅前開発の話とか話しているのを聞くのがおもしろいんです。お年寄りは病気の話や相続の話。若者たちが初体験の話とかしていて。そのときはのぼせるくらいずっと入って、じいっと聞いています。リアルでおもしろいんですよ。
植竹 ははは。
やつい 温泉って、人を油断させる力がありますよね。ものすごい人数が周りで聞いているのに、警戒しないで話している(笑)。コントのネタにしちゃうこともあります。
植竹 私は、1か所に15分もいないくらいでサッと上がって、次の温泉に行ったりすることが多いので、そこまで聞き込みはしていないですが、いいですねえ。
やつい タオルでほっかむりして、ひたすら聞いています(笑)。
植竹 やついさんは、温泉では完全にスイッチオフなんですか?
やつい オフのこともあるけれど、コントのネタやライブの曲順を考えたりすることもあるし、アイデアも浮かんできますね。家では、風呂で読書をしたりネタを書いたり、なんでもやっているんです。だから本当は温泉に行っても、いろいろやりたいけれど、たいていは持ち込みができないので、その点は残念です。
植竹 読書であれば、新潟県の『栃尾又温泉』がおすすめですよ。すごくぬるいんですけれど、みなさん、瞑想されたり読書をされたりと、ゆっくりと浸かりながら思い思いの時間を過ごしていて、2時間から5時間ほど入っている方もたくさんいらっしゃいます。
やつい へえ。それはいいですね。今度行ってみよう。
植竹 やついさんにとって、温泉は、オンでもありオフでもあるんですね。
やつい そう。作家連中と温泉に入っていて、アイデアが浮かんだので話していたら「今メモれないからやめて」と言われたこともあります(笑)。
植竹 なんだか楽しそう。
やつい そうですね。仕事仲間と入れば、確実に距離が縮まり、仲良くなれますよ。
植竹 同じ釜の飯を食うみたいな。同じ湯舟に浸かった仲みたいな。
やつい そうです、そうです。

お風呂上りに、しっかりと苦みが楽しめるビールをうすはりグラスで飲みたい

植竹 大人ならではの温泉の楽しみ方ってあると思うんですが。いかがでしょうか?
やつい いろいろなところに行けるようになったのは、大人になってからかな。ご飯も好きなので、行ってみたいなあと思う店をチェックして、そのお店の近くの温泉を調べたり。静岡に行く用があれば、「お気に入りのおでん屋さんに行って、温泉にはいって、新幹線に1時間乗って帰ろう」とか、大阪なら「通天閣行って串カツ食べて、スパワールドで仕上げるか」みたいなスケジュールを立てるのが楽しいですね。そして、やっぱり風呂上りのビールは、うまいですよ。
植竹 宿に着いた。休んだ。温泉入った。その後のプシュはやっぱり最高ですよね。
やつい 僕は、ビールも珈琲も苦みがしっかり感じられるほうが好きなんです。ヱビスビールのような深いコクのあるビールは、缶をあけて直接飲むより、グラスに注いで飲んだ方がうまいですね。麦芽が強いから、グラスに注いでも、味が消えないで泡に苦みが残るんです。
植竹 ジョッキよりグラスがいいですか?
やつい ジョッキだと口をつける部分が厚いでしょ。うすはりグラスだと液体がそのままふわっと入ってくる感じがして好きですね。これぞ、大人の愉しみという気がします。いやー、たまりません!

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やついいちろう
お笑いコンビエレキコミックのボケ担当。2005年より「COUNT DOWN DJ」DJブースにてフェスデビュー。エレキコミックとしての活動と並行し、音楽イベントのDJとしても全国を駆けめぐる。さらに2017年にはNHK朝ドラ「ひよっこ」に出演。活躍の幅を着実に広げている。
植竹深雪
地方局アナウンサーや記者を経て、フリーアナウンサーや美容ライターへ。その活動の傍ら温泉道を邁進。オールアバウト温泉ガイド。「キレイ」になれる温泉を中心に季節限定の温泉情報や今注目されている温泉などを発信中。

箱根湯本温泉/ホテル おかだ
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