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長い冬を抜け、暖かな春の気候を楽しむ旅がしたくなる季節。今回は、関東近郊や中部地方から気軽に日帰り可能なショートトリップとして、静岡に、満開の桜や、春漁がはじまったばかりの桜えび、地元グルメの静岡おでんやうなぎなどを探しにいく旅をご紹介します! うららかな春の日差しを、季節や土地の魅力たっぷりの味わいとともに楽しんでみませんか?

暖かな気候のなか、桜満開の春を探しにでかけてみませんか?

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静岡の初春の光景と言うと、毎年2月上旬から約1カ月をかけて満開となる「河津桜」を思い浮かべる方が多いかもしれません。

大島桜と彼岸桜の交配種と言われる河津桜は、鮮やかなピンク色と大きな花弁が特徴。伊豆半島東岸・河津町の川沿いに、3キロにわたって続く桜並木は圧巻の一言です。

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けれど、静岡で見られる春の花の魅力はそれだけではないんです! そんな河津桜の時期を過ぎ、3月後半を迎えると「ソメイヨシノ」を中心に、白い桜の花が咲き誇りはじめます。

このエリアでのお花見の素敵なところは、富士山をバックにした、何ともフォトジェニックな写真が撮れてしまったりもするところ。富士市の「雁堤(かりがねづつみ)」や「田貫湖」など、富士山と桜を併せて楽しめる名所が数々あり、例年、多くの人が賑わいを見せています。

富士山麓が淡紅色に染まる、由比港だけの「桜えびの天日干し」

提供:清水区役所蒲原支所

美しい花の桜とともに食いしんぼうの皆さんにご紹介したいのは、桜は桜でも「桜えび」と富士山の光景!

日本国内では静岡の駿河湾のみで行われる桜えびの春漁は、例年、ソメイヨシノの花が咲き始めるのと、ほぼ時を同じくして始まり、その釣果が富士山をのぞむ河川敷一面に天日干しにされ、春のおとずれとともに他では決して見られないこんな素敵な景色を作り出します。

Photo by Ryo Shimomura

天日干しの光景が見られるのは、蒲原の富士川河川敷。3月下旬から6月上旬までの春漁期と10月下旬から12月下旬の秋漁期の年2回で、近くの由比港に水揚げがあった翌日、晴天の下、作業が行われます。

ちなみに由比を含む近隣3町では、どれほどの量の桜えびを獲っても獲らなくても“分け前は平等”という、原始共産制とも呼べる昔ながらの知恵により乱獲を抑止しているのだそう。

Photo by Ryo Shimomura

そんな由比に足を運んだら、絶対に召し上がっていただきたいのが漁港ならではの、新鮮な生の桜えび。

人気は、漁船が停留する港近くに所在する「浜のかきあげや」の素朴な品々です。釜揚げや沖漬けにした桜えびの丼や、ネギや豆腐を一緒に煮込んだすき焼き風の漁師料理「沖あがり」、揚げたての大きなかき揚げなどを目当てに、週末ともなれば沢山の人が訪れ、列を作ります。

Photo by Ryo Shimomura

露天の席にかけたら、すぐさまアツアツ&サクサクの甘いかき揚げをガブリ! お店で飲み物の提供はないので、おとものビールは是非、ご自身で持参してくださいね。揚げ物のインパクトと好相性の、しっかりとしたコクのあるヱビスビールが最高のペアリングです。

Photo by Ryo Shimomura
浜のかきあげや

【住所】〒421-3111 静岡県静岡市清水区由比今宿浜1127(JR由比駅から徒歩10分)
【電話】054-376-0001
【定休日】月曜・祝日の翌日・年末年始。桜えび休漁期間中は金・土・日のみの営業
【営業時間】10:00~15:00

6時半に開店、隠れた名店の“お母さん”のおにぎり持参でお花見に

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桜えびを堪能したら、お次は、桜を愛でに、由比からJR東海道本線で約20分の静岡駅に。

2014年に坤櫓(ひつじさるやぐら)が再建され、この地で余生を送った徳川家康公の時代を偲ばせる雰囲気も取り戻した「駿府城公園」では、お堀沿いや園内の約450本のソメイヨシノが4月上旬ぐらいから一斉に満開になります。お堀の水面に映る桜と散った花弁が、とってもきれい。日が暮れるとライトアップも行われ、そちらも凄く美しく心奪われます。

Photo by Ryo Shimomura

お花見の楽しみの一つのお弁当には、駅から5分。創業1968年という「おにぎりのまるしま」の手作りおにぎりと「静岡おでん」がオススメ。

長年、連れ添った仲良しのご夫妻が営むおにぎりのまるしまは、なんと早朝6時半に開店! 4時半から準備をはじめ、地元のビジネスパーソンや旅行者に、おにぎり、味噌汁、おしんこの、愛情たっぷり朝ごはんを提供し続けている隠れた名店です。朝食セットは、おにぎり2個・味噌汁・胡瓜と大根のおしんこ付きで、300円という良心価格。

Photo by Ryo Shimomura

そんなまるしまの店内のテーブルの上では、常時20種類程のおでんダネがグツグツと煮えています。こちらもどれでも1本60円というお安さ。具材に全て竹串が刺さっているのが静岡おでんスタイルです。一般的な静岡おでんは牛すじベースの黒っぽい出汁が特徴ですが、まるしまの出汁は鰹節に豚ひき肉を併せたもの。サバやイワシのすり身で作った「黒はんぺん」が王道で、魚の削り粉“だし粉”をかけていただくのが地元流です。

好きなタネを選びながら、お茶と一緒にいただくのもいいですが、これからの季節は持ち帰りにしてもらい、外でパクつくのが素敵。こちらもビールなどの飲み物の販売はないので、お花見の際には持参するのを忘れないようにしてくださいね!

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おにぎりのまるしま

【住所】〒422-8067 静岡県静岡市駿河区南町7-15(JR静岡駅から徒歩5分)
【電話】054-281-4900
【定休日】日曜・祝日
【営業時間】6:30~16:00(月〜金)、6:30~17:00(土)

「白焼きにした国産うなぎ」を格別のビールとともにいただく悦楽

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ポカポカ日和のお花見を楽しんだら、あと少しだけ足を伸ばし浜名湖の膝元、浜松まで。せっかくなので、ちょっぴり贅沢をして国産のおいしいうなぎをいただいてから帰りましょう。

そうそう、時間に余裕があれば「浜松城」でもお花見を。徳川家康公の立身出世の舞台となったことから“出世城”と呼ばれるこちらのお城は、晴れた日なら浜名湖や富士山まで見渡せる天守閣からの眺めの見事さでも知られています。

Photo by Ryo Shimomura

お待ちかねのうなぎは、創業1892年(明治25年)の名店「うなぎ藤田」で。こちらのお店のはじまりは、長野県飯田市の割烹料亭にうなぎの行商をしていたところから。35里(約140キロ)の道のりを、うなぎの鮮度が落ちぬよう天竜川で汲んで来た水を幾度もかけながら運んだという初代の姿を見て育った2代目が、地元・浜名湖に養鰻場を創始。その後、3代目が作り上げた“秘伝のタレ”を引き継ぎ、今に至ります。

Photo by Ryo Shimomura

注文を受けてから、うなぎを開きはじめるのが、いわゆる本物の鰻屋さん。お酒をいただきながら、胡瓜とうなぎの酢の物「うざく」や、うなぎの卵焼き「う巻き」などつまんで、のんびり待つのがツウの楽しみ方です。きも焼きや、藤田ならではの「肝の天ぷら」もオススメ!

そうしてやってきた白焼きを、キリッと冷えたヱビスビールとともにいただく悦楽。余分な脂の少ないうなぎは、山葵や特製タレにもよく合い、その旨みの濃さに痺れます。

Photo by Ryo Shimomura

締めはもちろん、うな重で。ちなみに、うなぎの焼き方には2種類あり、背を開いて蒸してから焼くのが関東流、腹を開き蒸さずに焼くのが関西流。関東流はふっくら柔らかく、関西流はパリッと香ばしく仕上がります。関東流が背開きなのは、“腹斬り”を演技が悪いと嫌がった武士文化の影響とも言われます。

関東と関西の中間点である浜松には両方の焼き方が存在しますが、藤田は関東風。継ぎ足し継ぎ足ししながら40年近く使っているタレの味とともに、存分に堪能くださいね!

Photo by sayakato
うなぎ藤田 浜松店

【住所】〒433-8113 静岡県浜松市中区小豆餅3-21-12(JR浜松駅から車で約25分)
【電話】053-438-1515
【定休日】木曜日(木曜日が祝祭日の場合は水曜日)
【営業時間】11:30~14:00、17:00~21:00
【その他】本店の浜松店のほかに、浜松駅前店、東京店、白金台店

次のお休みは、春を思いきり味わうショートトリップに!

Photo by Ryo Shimomura

いかがでしたか? 関東近郊や中部地方から気軽に日帰り可能な春のショートトリップ。春の日差しと、季節や土地の魅力たっぷりの美味に出会う旅に、皆さんも是非、おでかけになってみてくださいね。