保津峡の絶景を楽しみ、初秋の味覚を満喫する。

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日本にはヱビスがある。

「働き方改革」で残業削減などが進められているようだが、現代の仕事は「気疲れ」という負担も大きいのではないだろうか。ITなどの発達で業務が効率化される反面で、人と人が緊密に関わるケースが増えてきたからだ。嵯峨野トロッコ列車は、京都近郊でありながら、そうした「気疲れ」をすっかり忘れてしまう圧倒的な絶景を見せてくれる。JR山陰本線・嵯峨嵐山駅のすぐ隣にあるトロッコ嵯峨駅から出発した列車は、保津川に沿って山間を縫うように走っていく。春には桜、初夏は新緑、そして秋にはさまざまな色合いが織り混ざった紅葉のトンネルが待ち受ける。思わず息を呑むほど美しい渓谷の自然が、濁った心をすっかり洗い清めてくれるのである。

保津峡の絶景を楽しみ、初秋の味覚を満喫する。

コクの深いビールが、初秋の美味を豊かに。

嵯峨野トロッコ列車は、前述したトロッコ嵯峨駅からトロッコ亀岡駅(京都府亀岡市)まで4駅、約7・3㎞を25分ほどで折り返す。速めの自転車程度の速度だが、見どころではゆっくりと走ってくれる。真っ赤なディーゼル機関車が引っ張る5両の箱形客車は、木製の椅子に裸電球。素朴極まりない仕立てがノスタルジーを感じさせる。中でも5号車「ザ・リッチ号」は窓ガラスのない完全オープン。愛宕山南麓で蛇行する保津川を挟み込んだ峡谷の清涼な空気と、コクの深いビールが、初秋の美味を豊かに。キラキラと降りそそぐ木漏れ日などが肌身に感じられる。ちなみに、巨岩や奇岩を間近に見られる保津川の船下りは、夏目漱石の『虞美人草』で描かれて全国に知られるようになった。ただし、紅葉は例年11月中旬から見頃となる。気温などによって変わるので、事前に確認していただきたい。まさに山紫水明と呼ぶにふさわしい光景を楽しめる路線であり、京都ということから、行きつけの宿の女将に期間限定の「琥珀ヱビス」を土産に持参したという設定で料理をアレンジしてみた。ステーキにした大型の賀茂なすは夏野菜だが、京都の名物。天ぷらにした松茸やレンコンなどは初秋の味覚の代表格であり、子持ちが美味とされる子持ち鮎(落ち鮎)はマリネにした。これらの料理に合わせる「琥珀ヱビス」は、缶もビールの液色も鮮やかな琥珀色。そのイメージを裏切らない、コクの深い味わいが初秋の美味をさらに豊かにしてくれるのである。

複線化などで廃線となった山陰本線嵯峨駅~馬堀駅間を観光路線として再生。1991年4月から開業した。西日本旅客鉄道の子会社である嵯峨野観光鉄道が運営している。紅葉の時期にはライトアップが行われるほか、寒い時には石炭ストーブを設置した列車も登場する。

松茸、舞茸、レンコン、万願寺とうがらし、海老、銀杏を天ぷらにした。油で揚げることで、それぞれの旨味が増した料理に、まろやかでコクの深い「琥珀ヱビス」がよく似合う。

松茸、舞茸、レンコン、万願寺とうがらし、海老、銀杏を天ぷらにした。油で揚げることで、それぞれの旨味が増した料理に、まろやかでコクの深い「琥珀ヱビス」がよく似合う。