都心で自然に囲まれて街とつながって暮らす
佐藤岳利さんの恵比寿ライフ

シリーズでお伝えしている「Pen＋恵比寿の街からひもとく、ヱビスの世界。」の裏話。本誌ではヱビスビール誕生の地である恵比寿の街にスポットを当て、恵比寿と関わりのある方達にご登場いただきました。なかでも恵比寿愛に溢れていると感じたのが、恵比寿で「暮らす」人たち。最終回は恵比寿暮らしがもうすぐ20年になるという、佐藤岳利（さとう たけとし）さんの裏話をご披露しましょう。

理想の住環境で、豊かな暮らしを実現。

1996年、国産材を使った家具メーカー『ワイス・ワイス』を設立し、最高執行責任者を務める佐藤さん。東京ミッドタウンや文京区根津に店舗を構え、「豊かな暮らし」を提案。さらに『パタゴニア』や『スターバックス』といった企業と地域材を使った空間づくりにも尽力し、人気の家具メーカーとなりました。

そんな佐藤さんは、ご自身も恵比寿の街で豊かな暮らしを実現しています。恵比寿での思い出について次のように振り返ります。

「恵比寿は都心でありながら、人情味溢れる昔ながらの雰囲気が残っている街。都心なのにホッとできるエリアなので学生時代から何度か遊びにきていました。大学では地域経済学のゼミで学んでいたのですが、ガーデンプレイスになる前のサッポロビールの会社にお伺いして、ビールをご馳走になったこともありますね」

恵比寿に住むにあたり、佐藤さんは築50年のヴィンテージマンションをフルリノベーション。“風が抜けて、自然素材に囲まれた家”をコンセプトに、3LDKの部屋をスケルトンのワンルームに作り替えたのです。

広いワンルームの中でまず目が行くのが檜風呂。全国の秘湯を巡る佐藤さんがこだわった檜風呂は、窓際のベランダに隣接。いわゆる半露天風呂といったレイアウトで、最高に気持ちのいい空間が広がっています。

「そもそもここに決めたのは、恵比寿の中でも高台にあり、周りに高い建物がないからです。かつては東京タワーが足元からすべて見えましたけど、ビルが増えて見えなくなってしまいました。それでも神宮の花火は今でもバッチリ見えます。特にお気に入りなのは、遠くの丹沢の山に陽が落ちて行くのを眺めながら、このお風呂に浸かるひととき。湯上りにベランダに座って地元のヱビスビールを飲む。最高の時間ですよね」

ご自宅の両サイドには大きな窓を設置。開けると部屋中に風が通り、真夏であってもエアコンいらずの快適さ。また国産スギの天井や手漉きの小川和紙の襖、富山県産トチのダイニングテーブルなど、出自の確かな自然素材にこだわったインテリアが、心地よい住空間を作り出しています。こんな居心地の良い住まいだからこそ、自然と気の置けない仲間たちが集まってくる。佐藤さんお手製の料理やそれぞれが持ち寄った手土産に舌鼓を打ちながら、リラックスした楽しい時間を過ごしていると言います。

少年野球チームで実感した、地元のコミュニティの重要性。

佐藤さんは、地域のコミュニティも大切にしています。お子さんが恵比寿の少年野球チーム『若羽クラブ』に入団したことをきっかけに、野球のコーチをボランティアでスタート。大きくなってチームを卒業してからもずっとコーチを続けています。

「チームをボランティアで支える父兄と一緒に食事をしたり、自宅に子どものチームメイトが遊びにきたりするようになりました。こうした地域のつながりができると、仕事では出会うことがないような人たちとの交流ができ、新たな発見もたくさんありますね。町内会の集まりや地元のお祭りなど、恵比寿という街には古き良きコミュニティが残っています。地元の皆さんが大切にしているこの恵比寿の魅力に触れられることも、恵比寿で暮らしていてよかったと思う要因ですね」

居心地のいい住空間と古き良きコミュニティ。佐藤さんのお話を伺いながら、地元の方々が恵比寿を愛する理由を深く実感できた取材となりました。

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