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落語家・春風亭柳枝×東京都写真美術館
『メメント・モリと落語』
2月に発売した、Pen+『暮らしを彩る、ヱビスのある時間。』はすでにお読みいただけただろうか。ヱビスビールラバーのライフスタイルに迫った一冊だったが、このたび、また新しくヱビスのムックが発売されることとなった。それが、ヱビスビールが名前の由来となっている東京・恵比寿の街の姿を通して、ヱビスが大切にする世界観やこだわりを紐解いた、Pen+『恵比寿の街からひもとく、ヱビスの世界。』だ。
9月6日の刊行だが、注目のひとつが、昨年、江戸時代から続く落語の大名跡を襲名した九代目・春風亭柳枝が、東京都写真美術館をはじめとするスポットを案内する、恵比寿のカルチャー特集。そして、なんと本特集をきっかけに、東京都写真美術館で初の落語会『メメント・モリと落語』が8月12日に催されたのだ。Pen+発売前の特別記事として、柳枝さんが『死神』などを演じた本イベントの模様をお届けする。
落語会開催の背景にあったのは、東京都写真美術館で現在開催中の企画展『TOPコレクション メメント・モリと写真―死は何を照らし出すのか』だ。「死を想え」を意味するメメント・モリをテーマに、人々がどのように死と向き合い、逞しく生きてきたかを約150点の同館が収蔵する写真作品から探る。
Pen+の取材オファーを受け、展覧会と人間の生き様や悲喜交々を、ユーモアと風刺を交えて描く落語の世界観に共通項を見出したという企画広報係の平澤綾乃さんは、すぐさま柳枝さんにアプローチ。6月中旬に話があってから、わずか2カ月での開催を実現した。
18時30分開演。開口一番で、前座の柳亭左ん坊さんが『子ほめ』を演じて、いよいよ真打の春風亭柳枝さんが登場。まずは噺に入る前の軽快なまくらで、ほぼ落語を聴くのが初めてという人が多い会場の空気を和らげた。そのなかで学生時代の東京都写真美術館での思い出や、展覧会に共通する落語におけるドライな死の捉え方について語ったが、本誌でも柳枝さんは述べているので、ぜひ購入して読んでいただきたい。
一席目は『片棒』。自分の葬式で息子たちの金銭感覚を判断しているところに、死へのドライな向き合い方が出ている一席だという。現代の終活にもつながるようなテーマだが、柳枝さんが演じるケチな商人と3人の息子たちの滑稽なやりとりに、会場の笑いは絶えなかった。
中入り後、再び高座にあがった柳枝さんは、告知にもあった『死神』を演じる。失敗続きで自殺しようとしていた男の前に、死神を名乗る老人が現れ……という噺だ。『片棒』とは反して直接的に死を扱っているため、観客も退廃的なおどろおどろしい印象を受けながら聴き入る。
そしてクライマックスの男と死神の対峙、そして寿命となる火をほかの蠟燭に移し替えるシーンでは、まるでその場に居合わせているかのような緊迫感に包まれる。柳枝さんオリジナルのサゲも決まり、拍手喝采のなかでのお開きとなった。
イベント後には、「美術館、写真と落語の組み合わせがよかった」「『死神』をお盆にきくと凄みが増した」「生きていることを考えるきっかけになった」という感想のほか、落語ビギナーの方からは「寄席にいってみたくなった」「新しい楽しみを発見できた」といった声も寄せられた。
新型コロナウイルス感染症の流行以前は、ビールを飲みながら寄席を楽しむ光景も多く見られた。本誌のインタビューでも柳枝さんは、「自分で足を運んで、感じる喜びを大切にしなくちゃ」と、一期一会の大切さを強調する。ぜひ、読者のみなさんも、Pen+『恵比寿の街からひもとく、ヱビスの世界。』をお買い求めいただき、ヱビスのブランドコンセプトが根付く恵比寿の街を自らの身で体験してほしい。
『TOPコレクション メメント・モリと写真―死は何を照らし出すのか』
9月25日(日)まで東京都写真美術館で開催中
http://www.topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4278.html
写真・橘蓮二「ヱビスのライフスタイル雑誌」の第2弾は、恵比寿の街の歴史やその街で働く人、こだわりのあるレストランの紹介を通して、ビールの楽しみ方を多彩に広げるヱビスとの関係性を探った。 そのほか、秋の限定商品として本年で17回目の発売となる「琥珀ヱビス」の秘密やおいしいマリアージュ、ヱビスビアタウン誕生への想いなどを紹介する。
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