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落語家・春風亭柳枝×東京都写真美術館
『メメント・モリと落語』

落語家・春風亭柳枝×東京都写真美術館<br>『メメント・モリと落語』
東京都写真美術館の1階ホールで行われた『メメント・モリと落語』。10代から70代以上までの127名の観客でほぼ満席となった。ふだんは写真美術館で観る映画館として、古今東西の良質な作品を上映している。

2月に発売した、Pen+『暮らしを彩る、ヱビスのある時間。』はすでにお読みいただけただろうか。ヱビスビールラバーのライフスタイルに迫った一冊だったが、このたび、また新しくヱビスのムックが発売されることとなった。それが、ヱビスビールが名前の由来となっている東京・恵比寿の街の姿を通して、ヱビスが大切にする世界観やこだわりを紐解いた、Pen+『恵比寿の街からひもとく、ヱビスの世界。』だ。

9月6日の刊行だが、注目のひとつが、昨年、江戸時代から続く落語の大名跡を襲名した九代目・春風亭柳枝が、東京都写真美術館をはじめとするスポットを案内する、恵比寿のカルチャー特集。そして、なんと本特集をきっかけに、東京都写真美術館で初の落語会『メメント・モリと落語』が8月12日に催されたのだ。Pen+発売前の特別記事として、柳枝さんが『死神』などを演じた本イベントの模様をお届けする。

春風亭柳枝
春風亭柳枝。1981年、東京都目黒区生まれ。2006年、江戸前の香りのする明るい落語に惚れ込んで春風亭正朝に入門、「正太郎」として前座をつとめる。2009年に二ツ目昇進、2021 年に真打昇進。九代目春風亭柳枝を襲名。古典落語のあたたかみが伝わる高座で聴く人の心をつかむ。https://www.ryushi9.com

落語会開催の背景にあったのは、東京都写真美術館で現在開催中の企画展『TOPコレクション メメント・モリと写真―死は何を照らし出すのか』だ。「死を想え」を意味するメメント・モリをテーマに、人々がどのように死と向き合い、逞しく生きてきたかを約150点の同館が収蔵する写真作品から探る。

Pen+の取材オファーを受け、展覧会と人間の生き様や悲喜交々を、ユーモアと風刺を交えて描く落語の世界観に共通項を見出したという企画広報係の平澤綾乃さんは、すぐさま柳枝さんにアプローチ。6月中旬に話があってから、わずか2カ月での開催を実現した。

開演前の会場設営
開演前の会場設営。東京都写真美術館で初めての落語会であったが、運営スタッフの士気も高く、柳枝さんも納得のいく高座に。「会場が協力的だとそれだけでも会は俄然良いものになりますよね。ありがたいです」

18時30分開演。開口一番で、前座の柳亭左ん坊さんが『子ほめ』を演じて、いよいよ真打の春風亭柳枝さんが登場。まずは噺に入る前の軽快なまくらで、ほぼ落語を聴くのが初めてという人が多い会場の空気を和らげた。そのなかで学生時代の東京都写真美術館での思い出や、展覧会に共通する落語におけるドライな死の捉え方について語ったが、本誌でも柳枝さんは述べているので、ぜひ購入して読んでいただきたい。

一席目は『片棒』。自分の葬式で息子たちの金銭感覚を判断しているところに、死へのドライな向き合い方が出ている一席だという。現代の終活にもつながるようなテーマだが、柳枝さんが演じるケチな商人と3人の息子たちの滑稽なやりとりに、会場の笑いは絶えなかった。

一席目は『片棒』
ある商人が、3人の息子のうち誰に店を継がせるかを決めるため、自分が死んだらどのような葬式をあげるか3人に聞いていく『片棒』。次男が色っぽい葬式を提案し、テンション高く山車や神輿を繰り出して、最後に面白おかしく弔辞を読み上げる様子に、観客は大盛り上がり。

中入り後、再び高座にあがった柳枝さんは、告知にもあった『死神』を演じる。失敗続きで自殺しようとしていた男の前に、死神を名乗る老人が現れ……という噺だ。『片棒』とは反して直接的に死を扱っているため、観客も退廃的なおどろおどろしい印象を受けながら聴き入る。

アジャラカモクレン、メメント・モリ、テケレッツのパー
「アジャラカモクレン、メメント・モリ、テケレッツのパー」という呪文を唱えて2回手を打つと、死神が消える。「メメント・モリ」の部分は、もちろんこの日のオリジナル。

そしてクライマックスの男と死神の対峙、そして寿命となる火をほかの蠟燭に移し替えるシーンでは、まるでその場に居合わせているかのような緊迫感に包まれる。柳枝さんオリジナルのサゲも決まり、拍手喝采のなかでのお開きとなった。

イベント後には、「美術館、写真と落語の組み合わせがよかった」「『死神』をお盆にきくと凄みが増した」「生きていることを考えるきっかけになった」という感想のほか、落語ビギナーの方からは「寄席にいってみたくなった」「新しい楽しみを発見できた」といった声も寄せられた。

東京都写真美術館ならでは
死神が男に生き長らえたければ蠟燭の火を移し替えろと迫る。多数の蠟燭が背景に映し出される演出は、東京都写真美術館ならでは。観客は柳枝さんが眼光鋭い死神に見え、肝の冷える思いをしたはずだ。

新型コロナウイルス感染症の流行以前は、ビールを飲みながら寄席を楽しむ光景も多く見られた。本誌のインタビューでも柳枝さんは、「自分で足を運んで、感じる喜びを大切にしなくちゃ」と、一期一会の大切さを強調する。ぜひ、読者のみなさんも、Pen+『恵比寿の街からひもとく、ヱビスの世界。』をお買い求めいただき、ヱビスのブランドコンセプトが根付く恵比寿の街を自らの身で体験してほしい。

『TOPコレクション メメント・モリと写真―死は何を照らし出すのか』
9月25日(日)まで東京都写真美術館で開催中
http://www.topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4278.html


ヱビスのライフスタイル雑誌

「ヱビスのライフスタイル雑誌」の第2弾は、恵比寿の街の歴史やその街で働く人、こだわりのあるレストランの紹介を通して、ビールの楽しみ方を多彩に広げるヱビスとの関係性を探った。 そのほか、秋の限定商品として本年で17回目の発売となる「琥珀ヱビス」の秘密やおいしいマリアージュ、ヱビスビアタウン誕生への想いなどを紹介する。


写真・橘蓮二

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